(蛍光灯を抱きしめた)蝉の写真と抱き合わせで報告することでもないんですが、

昨晩、舞台『ディアボリックラヴァーズ』の初日が開けました。

こういう、アニメや漫画、ゲームなど2次元媒体を原作として、3次元すなわち生身、実写の舞台にするジャンルを「2.5次元」と言うのだそうです。

「次元」と言うサイエンスフィクショナルな語感に、小学生並のワクワク感を抱いてしまう自分がいますが、言うまでもなく、ワタクシ末原拓馬は3次元の世界を生きる俳優。「2.5」への変化が「次元が下がった!」とならぬように、いつも以上に気を配りながら役に取り組んでいます。

そんな、異次元空間に足を踏み入れた、夏休み。

演じるのはリヒターと言うヴァンパイアなんですが、言わずもがな、原作があるからには明確な人物イメージの「答え」があるもので、「似ているかどうかも大きな勝負所であるぞ」、と、2.5の先輩である仲間たちからは言われていました。

僕の場合は、

喋り方や立ち振る舞いなど表面的なものを真似るよりも、人物の感情や意志に寄り添う作業に時間を費やしました。人物を演じるの上での「縛り」よりも「起爆剤」を手に入れるほうが自分には良いと考えたからです。

何を愛し、何を求め、何を憎み、何に絶望するのか。

この「リヒター」てのが、まあ恋に破れて何百年も現世をさ迷ってしまうような気狂いの過ぎた男なんですが、1ヶ月の間静かに寄り添って過ごすうちに、彼の思いの純粋さや強さなどへの共感が強まっていきました。そうすると、

我ながら、自分の顔つきが変化し始めたことに気付きました。喋り方も、変わるんですね。

まだまだ、昨日初日が開けたばかりなのですが、毎ステージ、大切に駆け抜けたいと思います。なんだか、リヒターと言う決して幸福ではない人物の生き方に、何かを手向けることができればと願う自分がいます。

僕にとっては、この舞台はひたすらに「愛」の物語なのです。