小道具や材木(!?)を、演出家含む各自がエンヤコラ持ち帰る。

最終稽古が終わった。最高の形で終わった。ラストの通しでは、ようやく、作品が魔力を放った。ゾクっと、乗っ取られるがままに紡ぎ続けた。

稽古場は、毎日が公民館の渡り歩きだった。予算が潤沢な商業演劇であれば貸しスタジオを固定で何週間も抑えて稽古をするが、誇り高き貧乏演劇家である我々のデフォルトは否応なしにこっち。毎日稽古場が違うから、「ジプシー」なんて自虐的にケラケラ名乗る。

わりーか。
わるくねーべ。
かっこいーべ。

親友であり病的な謙虚さを属性とするユウキさんは俺らにひたすら謝る。バカ。アンタのためならなんでもする奴しかこの座組にはいない。

気弱なカリスマ大沼優記のもとに集う者たちの現象を「たびんぐぷらす」と呼ぶのだと解釈してる。だから、少なくとも俺は図々しかろうが身内のつもりでこの公演に全力ダッシュだ。

全員がただただ公演成功のために祈り、願い、働く。

それは、明日から出会うすべてのあなたたちも、そうでっしゃろ?