12日夜、
『黎明浪漫譚』が千秋楽までおわりました。
ご来場いただいたみなさま、
応援くださったみなさますべてに、
狂おしいほどの「ありがとう」を贈ります。

「ありがとう」と「ごめん」が口癖な自分ですが、
このありがとうは、
本当に本当に上等なありがとうだって、
どうかお願いだから知ってほしい。


ありがとう。


体力を使い切ってしまったのか、
カーテンコールあたりから先の意識がほとんどなくて、
打ち上げの風景は少しずつ記憶にあるから(みんなの顔のアップ)
参加してたのは間違いないのだけれど、
朦朧とした夢をみていたみたい。

あれだけのことをしていたのに、
ほとんどの俳優はまた次の日には別の仕事を始めねばならず、
別れていく。
自分だってそうであり、
いま、山積みになった仕事を前に深呼吸をしてる。

切り替えなんかひどく苦手な人間なものだから、
まだ目なんか覚めなくていいや、って、
夢と地続きのまま別の物語りに足を踏み入れようとしてる。

もちろん、この「物語り」って言うのは、
日常のことも含まれていて。

ちょっとややこしいけれど、
ソラオはこれからの自分の一部になっていくんだ、
そうやってこれから生きていきます、
って、
そういうことを書きたいんです。

昨日も午前中からちゃんと仕事をしていたらしく、
夢もうつつに帰宅し、
バタリ倒れて、
16時間くらい眠りました。

本場中は故障する身体をなんとかせねばと
いろいろ強いクスリを飲んでたために終始お腹が痛かったし、
気持ちが覚醒し続けていて
いつも夜明け前に3時間ごとに目が覚める始末でした。
体力回復のために目を閉じるけれど、
日中ずっと夢をみていたから、
布団の中でいまさらどんな夢に潜り込めばいいのかわからなかった。

昨晩ようやく眠ったと言う感じ。

眠りから覚めてみると、
世界は一昨日の朝となんら変わらない景色なのに、

今日は『黎明浪漫譚』の本番はなくって、明日もなくって、
みんなに会う予定もない。

パラレルワールドに迷い込んだ
そんな気がして、戸惑う。

もう一回眠って起きたら本番間の奈落だったらいいのに
なんて往生際の悪いことも考えるけど、
そんなの無理なことがわかるくらいには僕は賢いのが悔しい

風がヒューヒュー吹きすさぶくらいにしか鳴らないひどく嗄れた声と、
痣だらけの身体で、茫然としてる。


独りぼっちだった路上時代からの癖で、
観客に対する依存度が異常に高い僕は、
客席のみなさんの顔を覚えてしまって、
本番中は毎日、
見覚えのある顔を見つけては幸せになってしまう。

一応芸能人扱いをしてくれて,
「面会は関係者のみ楽屋へお通ししますか」
と制作さん言ってくださったけれど、
みんなに会いたくて、
終演後はロビーに出ていかせてもらった。
お話できたみなさん、本当にありがとうございます。

服にも食にも旅行にもゲームにも興味がなくて、
生きていて稽古と執筆と本番以外にやることがない僕にとって、
あの時間が、生きる力の源のすべてだったりします。

プレゼントやお花をくださったみなさん、
もう、なんて言ったらいいのかわかんない。

本番前は、
空も飛べそうな全能感と、
身体が鉛になって声も出ず体も動かないんじゃないかって言う恐怖感が、
邪悪で神聖なマーブルみたいになって、
自分を支配するんです。
そんなときに、
もう、ぜんぶ忘れて、
みなさんのこと考える。
楽屋に届いたプレゼントをみる。
そうすると、
馬鹿みたいに力がみなぎる。

奈落でのスタンバイでは、
共演者の手を握り締めて、
肩殴りあって、震えを抑えてる。
奮えでもある。
「僕は力の塊だ」って、ずっと必死で念じて、
愛しているひとたちのことを、ひたすら考える。

ステージに立つと、

もう何もかも忘れて、
記憶もなくなって、
気が付くと、
自分でも驚くほどの速さで走ってる。


僕はこれから死ぬまでに、
たぶん何百と言う数の作品に携わると思います。
あなたも、きっと、数限りない作品に出会っていくはずです。

だけれど、
2014年1月に僕らが吉祥寺で紡いだ、
この『黎明浪漫譚』と言う作品が、
ずっとずっとあなたの記憶に残って欲しい、
と願います。
本気で願います。

一度に200人そこらにしか見せられない、
「舞台」なんてものに命をかけた僕らの真意と覚悟が、
どうか伝わっていただけたらと切に願います。


ソラオは僕で、
僕はソラオでした。


僕らがみた、この一瞬の夢が
永遠へと続いていきますように。

信じているし、
願っているし、
そうであるために、
これから何十年、どんな努力でもしていくつもりです。



ありがとう。


数々の出会いと奇跡の時間へのとびきりの感謝を抱きながら、
また会える日を夢見がちに心待ちにします。


キンキラキンのラブをあなたに。



ソラオ
末原拓馬 (おぼんろ)