おぼんろ第十回本公演
『ビョードロ』~月色の森で抱きよせて~

三週間にわたる全28ステージ、終了しました。

総参加人数は2097人。

目標の2718人には到達しなかった悔しい気持ちでありながら、反面、誰にも観てもらえなかった時代から、ここまで来た、と2000人の大台を越えた感謝と感激を噛みしめています。目標はシアターコクーン。要するに、日本のトップ。

まだまだ。
ここから、です。作品は負けていなかった。
それは、クチコミの拡がりでの後半の伸びが証明してくれている。

ご来場いただいたみなさま、
気にかけてくださったみなさま、
スタッフ、共演者、
この期間に地球上に存在したすべてのものに、
心から感謝します。
  
(写真:三浦麻旅子)

例によって、公演後最初の挨拶と言うのはものすごく苦手で、それって、公演が終わったことを認めてしまうことになるし、だったらば、弔辞よろしく、一世一代の言葉を並べ立ててやりたいのだけれど、メンタリティーとしてはどうにも落ち着かないような、体力が地上すれすれであるような、心もとない状態であるからして、上手にありがとう言えないまま、時間が過ぎるのが、いつもなのです。

初日ギリギリまで作品が出来上がらずに、どうしたらいいのかわからなくって、自分の無力感い打ちひしがれそうになって、でも、ひしがれてる場合じゃない、そんなけったいな“ひしがれ”以上に、焦燥感のほうがよぽど重々しいさなか、

参加者から応援の言葉を目にして、
稽古場には才能のある仲間が集まっていて、
スタッフも、ぎりぎりまで待ってくれて、

前後不覚のまま歩き続けたら、ようやく日暮里にいた、

そんな風に、
ようやく劇場に持ち込んだ作品でした。


さひがしジュンペイ、高橋倫平、林勇輔、わかばやしめぐみ、

この4人への尊敬と感謝が尽きません。作品が完成したのは、この4人のおかげであると言って過言ではないです。拓馬は何もしていない。僕が言うまでもありませんが、本当に素晴らしい才能を持った4人です。経験も実力も足りない人間が主宰者だなんて圧倒的なハンデを負ったこの公演を、見事に成功に導いてくれました。

スタッフにも救われました。今回、スタッフの数が増え、急にプロフェッショナルな様相を持つ公演になりました。それは、成長のステップであるとわかりつつ、なにもかも自分の手の届く範囲でしかやってこなかった自分にとって、実は恐怖でもありました。自分が自分でなくなってしまうんじゃないか、と。しかし、そんな心配はまったく必要なく、結果、すべてのセクションがこれまでよりパワーアップし、あからさまに、おぼんろは進化しました。

そして、参加者のみなさん。
無礼を承知で言いますが、なんと言うか、「感謝」なんて他人行儀な言葉が無礼にあたるんじゃないかと思うほどに、僕は自分も参加者の一人だと思っているし、みなさんと一体であると感じています。ひとりで会話ができないのと同じです。そういう意味で、冗談ではなくて、「メンバー」は、

2097人+5人+スタッフ+気にかけてくれた人全員

だと思っています。団体、しかし排他的でない。無限に増殖する。この現象が、どこまでも続いて、日本のてっぺんにまで上り詰めますように。心から祈ります。


取り留めもなく書いてしまいキリがなくなりそうですので、とりあえずはこの辺で。
また、追々いろいろと書くと思います。

出会ってくれたこと、
感じてくれたこと、
一生かけて恩返しします。

とびっきりのジョウキゲンが、
あなたを包み込み、
あなたに触れるすべてのひとに伝染しますように。

『ビョードロ』終了です。
ありがとうございました。


感謝の内に。


たくま。

 
 (写真:三浦麻旅子)

 最愛の作品が終わりになったのだから、
しばらく放心状態になったり、自暴自棄になったり、
当分は喪に服してやりたい気持ちでいっぱいだけれど、

ごめんなさい、
今回ばかりは、止まる気はないです。

昨日ちょっと熱が出たみたいになって寝込んだけれど、

今日からもう、トレーニングと執筆、
次の稽古を始めます。

まだまだ通過点。
コクーンでのワインを楽しみにしていてください。