ネイルサロンのキャッチコピー依頼が来たら、
『能ある美女は爪を魅せる』
と言う案を提出しようかなと思った。

でもそんなこと思ってる場合じゃまったくなくて、
寸分たりとも、爪の先の垢ほどもなくて、

劇団内の各セクションから来る催促に怯えながら、
まかり間違っても気分が落ち込まないように、
隙を見つけては念入りに大笑いをする。

夜中にひとりであるく、あるく、あるく。

トトロのテーマ的に歌えば、こうだ。

「♪あーるーこーる、
あーるこーる、
わたっしはぁ、・・・ヒック・・・・げんきぃぃぃ。とぉ!(電信柱と肩を組む)」

と言いたいところだけれど、
撮影やらも間に挟まるもんで、
アルコールでむくむわけにもいかず、

とにかく笑う。
笑う門に福が来るっていうから笑ってたら、

「それ、どうやるんですか?いいですね」

て、豆の痣がまだ体に残る放浪中の鬼たちが、
寄ってきた。