7月に屋形船でのイベントに出張芝居を頼まれて、
新作を創ったんですよ、『ゆめみるふぃーゆ』って作品。
これがまあ、書き始めてからは一息だったのだけれど、
結構、書くまでに時間がかかった作品で。
酔っ払いがどんちゃん騒ぎをする中での演目だと言うので、
それに見合った内容を考えて作成する必要がありまして、
これは、前にバーに頼まれて『ブラックシューテイングスター』て作品もやったことのある我々おぼんろとしては、大体、様子はわかるわけで。泣けるようなもの創っても仕方がないし、とにかく楽しいのが一番、て。

さあ、6月末から7月にかけてって、拓馬的には
井の頭公園での朗読公演を終えた直後、
第九回本公演のプロット(後に『ゴべリンドンの沼』になる)を作成せねばならず、
また出演舞台『マクベス』の台本が送られてきて読み込まなきゃだし、例によって
混乱しながら書いたんですね、『ゆめみるふいーゆ』。あわよくばこの作品を路上公演にしないか?なんて言う話も出ていたから、それに対応する内容にもしなきゃ、てことになって、もう、頭の中で駆けまわっておりましたよ、小人が、「早く書かなきゃだよ!早く!早く!」って。もう、うるっさいのなんの!!

ポップに。
パフォーマンス重視で。

『ズタボロ一代記』での経験を思い出して、路上なんかでの必勝パターンを織り込もう、なんて考えていたのだけれど・・・・

結局、屋形船では屋形船なりの成功を果たして、そのままおぼんろは怒涛の本公演期間に突入するわけで、この『ゆめみるふぃーゆ』はお蔵入りになりかけていたのです。

ところがまあ、なんとこの度、【まめ芝。】と言う、江古田で行われる演劇祭にお呼ばれしまして、「ノーとは言わない日本人」を全力で貫き通したい拓馬は、もちろん参加したい!!とお返事したわけです。もう、自分が怒られるパターンは最近よくわかってきたので、ちゃんと、お返事をする前にメンバーに了承を得る、と言うファインプレイも成し遂げました。

(こういうイベントです↓)
http://www.obonro2012-9.net/まめ芝-その4/

で、新作でも書こうかな、なんて思っていたのですが、倫平さんとめぐみさんが、『ゆめみるふぃーゆ』をやろうよ!って。実はこれ、めぐみさんと、倫平さん、かなり好きな演目なのです。
なんかそれはもう、書いた拓馬的にはとても嬉しい事実で、「やろうやろう!」と相成りました。

だがしかし、です。

へべれけ相手、船の上でやったものを、そのまま劇場に持ち込むのはなんか抵抗があって、
筆を加えさせてくれ、と頼んだんです。

7月、なんだか拓馬の中にはいろいろな拓馬がいて、とりあえず吐き出した作品だったのだけれど、未完成のような気がしていたのです。や、もちろん、プロですから、7月には7月なりの完成形であったことは断言します。でも、なんと言いますか・・・・・・、

いつも作品を書くときは自分の一部を物語の中に住まわせて、閉じ込めるんです。だから、作品を読み返すたびに、まるでタイムカプセルを開けたように自分と再会をします。

ただ、今回『ゆめみるふいーゆ』を再演しよう、となった時に、そこに住んでいるはずの自分が、どんな自分なのか、思い出せなかったんです。あのとき、何を思っていたのか、何を語りたかったのか。・・・・・・忘れてしまったのか。“自分”は物語からすでに逃亡していたのか。うっかり、閉じ込めるのを忘れてしまったのか。

稽古に入る前に、時間が欲しかったのです。
とは言え、「じゃあ書き直しを待つね」とみんなを待たせたまま、ああ、どういうこと?一向に進まなかったのでした。『ひと3』直後から延々悩みに悩んで、ようやく何かがわかったのが、なんと昨日の昼。待ちきれずに稽古を開始するしかないと言うことになった昨日14時、それを目前とした11時30分。突然に、なんだかいろんなことがわかったのでした。

そこには、紛れもなく、いました。
誰がって?
そんな、言わずもがな。

思い出したんですよ、確か、戯曲上のポップ路線は密かに諦めて、書きたいものを書いたんでした。断片的に夢のカケラをかき集めたような、そんな作品にしたかったんです。
シンプルな作品には違いないのだけど、
なんとなく、昨日稽古で演出をしていて、涙腺が緩みました。



なんて美しい世界なんだろう。



あと、これは、どうでもいいことなんですが、
思い出しました。

これ、

倫平さんのために書いた作品なんです。
役者・高橋倫平のため、
と言うのもだけど、
親友・高橋倫平のために。

よかったら、遊びに来てみてください。
「あけましておめでとうございます!」って、言いたいです。

ご予約はコチラです。

http://stage.corich.jp/stage_detail.php?stage_id=42243