地元ではおしゃれをするべきではない。

浮く。ショートケーキにかけられたソイソースの味のごとく、浮く。

過疎化のすすんだ町の主であるおばあちゃま方がそんなオシャレさんに向ける目は、

チュパカブラもしくはヌラリヒョンを発見したときのソレである。

地元には地元の流儀、従うべき郷がある。

ジャケットなど、くれぐれも着てはならない、スウェット、もしくは上下ジーンズなどが好ましい。

サングラスよりも老眼鏡、ピアスよりも補聴器である。


しかし、都心に出るならば当然、身だしなみに力を入れよう。

この場合、バッチリスタイルで家の玄関を出てから駅までの道のりは、ゴルゴダの丘にも似る。

あなたのソレが都会風のオシャレであればあるほど、全裸にも似た辱めを感じるはずである。


田舎道を、マフラー改造な感じのバイクが轟音を鳴り響かせて走っていた。

手で押すわけにはいかない、

時代遅れのヤンキースタイルの彼は、

酸素を失った水中の哺乳類さながらに、都会への道をブロロロロ!と急ぐのだった。


ま、爆音も、補聴器を通してやっと聞こえるんだけど。