大泥棒の夢を見た!
泥棒、俺の胸元に手を突っ込んで、アレやコレや盗み出す

その度、俺は何グラムかずつ軽くなってって、だんだんスカスカしてくる

もう何年間も、毎晩続いている大いなる盗難。

一念発起、今日は盗まれる瞬間に溜め息をついてみようと、一大決心。人間魚雷に飛び込むつもりで奴を待つ。

いっつも、素晴らしき暗黙の了解を律義に守る俺だから、盗難の瞬間には顔うつ向けて寝たフリをする。

でも今日は違うぜ



奴の顔だって

見てやる!!



盗まれまくってスカスカな俺は、最近よく吹くようになったアノ強風には相手にもされなくなって、吹き飛ばされもいない。でも親愛なる大地も俺を無視しるものだから、半分プカプカ、半分フラフラ。飛びもしなけりゃ立ちもしない。


プカフラ プカフラ


今日は溜め息をついてやる、待ってろ!大泥棒め!!



きた!!


ドキドキ

ふてぶてしい足音が響き渡る

ずしっ ずしっ

ドキドキ プカフラ

とりあえずいつものように、うなだれるポーズを取る

野郎、まんまと、俺が寝てると思い込んでやがる

ドキプカフラ

でもな、いつもだって、ホントは眠ってなんかいなかったんだぞ

ドキプカフラ


一歩近付く
一歩近付く

……近い!!

奴の手がスッと俺の胸元に伸びて来たその時…


いまだ!!



俺は、まず行きを吐いた、吐き切った


スーーーーーッ



風船のように息を吸い、止める
準備は完了だ
躊躇はしない
代わりに、覚悟をした


吸いまくった空気を、もはや体が止め切れないでいる。体の内から『あけてくれー!』とドンドンとノックされる気がした


ドキプカフラドン


ドン



目を閉じたまま顔をあげる


目を開ける


奴が目の前にいた


!!!?


なんと言うこと!
互いの動揺!!
奴は俺が眠っていなかったことが本当に意外だったのだろう、自信満々で憎々しげに歪んだ笑顔が、0.1秒の速さで動揺の表情に変わった

しかし、動揺は、俺にも。
オ、オマエハ……

吐き出す寸前の息が一瞬喉につかえる
えぇい、いまさら!



はァぁぁぁ~っ !!


体がぺったんこになるくらいに、俺は、一気に吐き出した。


数年間、溜めに溜めた、溜め息を。


奴にはひとたまりもなかったようだ。

顔を見られたショックでのおかしな表情を張り付けたまま、奴は『ぐぁぁぁ…!』と声を上げ、その場にコテンと転げて動かなくなった


ひでー顔


俺もびっくりだよ。


コテンと転げた大泥棒の顔…。
あースッキリした。明日からは元気になれそうだ。


コテンと転げた大泥棒は、



俺だった。




完っ


わはは 変な夢~
ながっ
五分くらいの話なのに。30分アニメを思い出した。