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私の母方の祖母はシングルマザーだった。
なぜ祖父がいないのか、母に尋ねても「知らない」と言った。
戦死でも病死でもなく、生きてはいると。
それなら離婚ということか。
当時、離婚は恥だった時代、タブーだったのも頷ける。
母すら事情を聞かされず、顔も名前も知らなかったから
当然、私にすれば戸籍上も何も無縁の人だった。
それが突然、名も知らぬ「叔母」の存在が明らかになった。
私がその人の「姪」だって?
しばらく状況が掴めず、こりゃ、新手の詐欺だなと。(笑)
推察すると、祖母と何らかの理由で別れた祖父が再婚し、
一男三女をもうけていたらしい。
母にすれば異母弟妹ということになる。
母の弟は昭和11年生まれ、異母弟は昭和20年生まれ。
この間に祖父に何があったのか
戦時下の過酷な時代をどう過ごしたのか
今まで考えたこともなかった祖父の存在が
おぼろげながら浮かんで来た。
祖父の半生については 最初の家族の祖母、伯母、母、叔父…
みんな何も知らずにすでに他界してしまった。
知りたかったかな。
「別に。」母ならきっとそう言うだろうな。
でもね、せめて名前だけでも知りたいんじゃない?
