いじめのこと | ブドリの森

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岩手の中学生がいじめを苦にして若い命を絶った。

まだあどけない幼顔の少年を見ると、胸が苦しくなる。


実は、わが家の次男も中3の時にいじめを受けていた。

学ランを来ていた季節だったから、おそらく10月頃だったと思うが、

次男がブツブツ小声でつぶやきながら、学ランの汚れを払っていた。

見ると、背中や肩の方まで泥だらけになっていて、

どうしたんだと訊くと、校庭でプロレスごっこをしたという。

その時、今まで見たことのないような息子のすごい形相に驚いた。

そういうことが何度かあって、さすがに尋常ではないと気づいた。



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担任や他の先生方に相談しても、おそらく子どもたち一人一人のことまで

把握しているわけでもないし、第一、本人が嫌がるだろうな。

八方塞がりの心境だったが、思い切って、

次男と同じクラスの友達のお母さんに電話をしてみた。

子どもが3人もいて、交互にPTAの役員をしていたおかげで、

お母さんたちとも繋がりがあったので話しやすかった。


同級生の話では やはり次男はいじめられていたようで、

悪ふざけともつかないようなプロレスの業をかけられているところを

多くの人が目にして知っていたそうだ。


でも、友達のお母さんも認めていたが、次男の担任は

適正に対応してくれるようなタイプではなかったので、

いざとなったら、教頭先生に直に相談した方がいいとアドバイスをいただき、

いくらか出口が見えたような気がした。




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「母よ」

深夜、仕事でクタクタになって熟睡している私の枕元に次男が立っていた。

クラスの気に入らないメンバーのこと、

担任がその子らをえこ贔屓していること、

自分が受けた数々の嫌がらせ…

それも、ちゃんとした文章で話すのではなく、

ポツリポツリと吐き捨てるように私にぶつけてくる。

言い返したくても 眠くて眠くて 返事をするのがやっと。

次男は 私が元気な時間ならば、言い返されてしまうから

こうして 真夜中になるのを待っていたんだろう。

それほど辛くて悔しくて、私のような親でも 聞いて欲しかったんだな。

私は黙って聞いた。


こんなことが何度かあって、今度は休みたいと言うようになった。

私は「いいよ」と言ったが、時間ギリギリに登校して行く。

結局、本当に休んだのは一日だけだった。

そのうちに例の子らも受験モードになって、次男を構うどころでなくなった。



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わが家の場合はけっして いじめを克服したというのではない。

でも、母子にとって あれほど辛い時期はなかった。

もしも、3年でなかったら… 

ラインでやり取りする今の時代だったら…

次男が話してくれなかったら…

私が元気で 聞く耳持たずに突き放していたら…

PTAのお母さんたちとの繋がりが全くなかったら…

どうなっていたか分からない。


いじめている側は ただの悪ふざけだと思っていても

本人にすれば 辛く屈辱的なことで、親にも誰に話せないということもある。

今回の岩手の子のSOSがどうして担任に届かなかったのか、

あまりにも 痛ましく悔しい。