「中国からの転校生」 | ブドリの森

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2013年度
    中学生人権作文コンテスト岩手県大会・最優秀賞を受賞した作文です。
 
 
                                   2013・12/1付 岩手日報より
 
 
 
       「中国からの転校生」
                                盛岡市・上田中学校2年   山村 あゆ
 
 
  小学2年のとき、中国から男の子が転校してきた。 しかも席は私の隣。 彼は中学1年生になって
 
 家の都合で他県に転校することになった。 それが初めて、私に彼との六年間を思い出すきっかけと
 
 なった。
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  私が通っていた小学校には、多くの帰国子女が
 
 通っており、日本語教室も設置されていたため、
 
 外国人は珍しくなかった。 それでも転校生という
 
 ことで、ものめずらしさからも、新しく来る中国人の
 
 彼にみんな関心を示し、話しかけようとしていた。
 
   しかし、日常を過ごしてみると、授業中に誰か
 
 が話している途中でも勝手に話し始めたり、一方的
 
 に卑劣な言葉を言ったり、ものを投げたりというような
 
 行動が目についてきた。 それらが自己中心的かつ
 
 迷惑に感じられた。 また彼は、日本を批判する言動もよくあり、腹が立ったことも多かった。
 
 
  そのせいかはじめ 「転校生だから」と大目に見ていた部分も 「中国人だから」という理由で大勢が
 
 片づけるようになった。 多分、その頃 頻繁に流れていた中国の良くないニュースの影響もあったと
 
 思う。 そして、中国人は悪い人種、と勝手に彼の人柄まで決めつけてしまっていたのではないだろ
 
 うか。
 
 
  ある日、担任の先生は彼に、 「日本の良い所、悪い所はどんな所だと思いますか」 と尋ねた。 
 
 彼は、 「良い所はトイレがきれいなこと、食べ物がおいしいこと、悪い所は自分の意見を積極的に言
 
 わないこと」 と話した。
 
  私は驚いた。 日頃から何でもかんでも、中国を高く、日本を低く見ているようなところのある彼が、
 
 日本の良い所もしっかり見ていてくれたのだ。 日本の批判だけでなく、一方では日本の良さに関し
 
 ても認めてくれていたのだ。
 
  また、彼は、「日本は中国と比べてとても消極的な人が多い。 中国では授業中、大体全員が手を
 
 あげるし、わからないことは話の途中で質問する。 日本の人はもっと、自分の意見は自ら発言し、
 
 広めていくべきだ」とも言っていた。 つまりそれは、私達が自己中心的に感じていたことの一つである
 
 授業態度は、彼の授業に対する積極的な姿勢であり、中国では当たり前の光景だと言うことだろう。
 
 
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  私は、先生が彼に、日本の良い所、
 
 悪い所を聞いてくれて良かったと感じる。 
 
 あのとき聞いていなかったら、彼の考えも
 
 母国のようすも知らずに、私達が自己中心
 
 的、迷惑に感じていた言動や授業態度を
 
 一括して 「中国人だから」と片づけてしまっ
 
 ていたのではないだろうか。 
 
  私達は彼とは違い、中国を批判するような言動はしなかったけれど、考え方などの面で知らず知らず
 
 のうちに 「中国人だから」と頭の中で中国を否定していたのではなかったかと思う。
 
  そうやって、国の違い、国民性の違いのせいにしてしまうことが人権問題につながってしまうのかも
 
 しれないと思った。 私達は中国の良い所を認める前に、中国人の人柄を決めつけて批判ばかりして
 
 いたのではなかっただろうか。
 
  たとえ、中国の良くないニュースがあっても、それひとつが全ての中国人に共通すると考えるのは
 
 浅はかである。 それぞれ国の特色や個人の個性もあるが、一概に悪いとは言えない。 
 
 私達は、長所と短所が混在する、国際的な社会でたくさんの長所を学び合う必要がある。
 
  その中で自分たちと違うことや違う人を拒否するのではなく、受け入れられればいいと思う。
 
 仮に、受け入れることが難しくとも、それなりの譲歩をし、相手を理解しようと努力していきたい。
 
 
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  人権とは、人間であるからには、無条件に持っているはずの
 
 基本的な権利のこと。 したがって、人間である以上、我々は、
 
 公平に扱われなければならない。 人種も性別も国の隔たり
 
 もないのが人権。 とはいえ、人は各々違った特徴や個性を
 
 持っている。 だから、お互いが歩み寄り、たくさんのことを学
 
 び、 受け入れることが重要になる。
 
 
  そもそも、人権問題は自分たちと異なる何かを拒絶しようと
 
 いう気持ちから起きてしまう。 しかし、自分たち以外は認めた
 
 くないという考えをみんなが持ってしまったら、人権問題はいつまでも解決しない。 
 
 自分たちと異なることにも興味を持ち、心を開いていくことが、誰もが同じ人間として分かり合える
 
 第一歩になるはずだ。
 
 
 
 
今朝、鶴姫さんのブログで 13歳の少年が書いた感受性豊かな詩が紹介されていました。
 
 
こちらの子も中2なので、13歳か14歳かな?
 
 よく 「今どきの子は…」って、悪い方に使われることが多いけど、
 
どっちの子も 純粋な感性で 世の中のことをしっかり見据えて
 
「人としてどうあるべきか」を 確信を持って語って立派ですね。
 
              いつの間にか社会の風潮に影響されて 他国の人たちを
 
蔑視するようになっていた自分が 何だかとっても恥ずかしくなってきました。。
 
頑張っぺ、大人!!  (。+・`ω・´)シャキーン