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久々に 風が爽やかだったから
鬼越峠まで 行ってみたくなった
80年前 盛岡側から登って来た 宮沢賢治が
目の前にあらわれた 岩手山の雄大さに感嘆の声をあげた
でも 今日は 雲がかかって よく見えなかった

小岩井農場の上丸牛舎
120年前のまま
時は流れるのを 忘れている

まだ 若い牛たちが 角を合わせる 真似をしたり

母牛たちは のんびりと うわさ話

出産が近いのか
大きなお腹が 重くてだるそうだ

いつの間にか セミの声も
チリチリと 虫の声にかわっている

草むらから 飛びだした トノサマバッタが
小さな扇子を 開いたり閉じたりしながら
追う間もなく 流れのうえを 越えていった