何年もPRIDEと反目し続けてきたK-1がいよいよ露骨なまでにPRIDE潰しに乗り出してきた。脱税で表舞台から姿を消した石井館長になり変わり総合プロデュースを任された谷川貞治は、相変わらず鼻息の荒いアントニオ猪木(大晦日の猪木祭りの失態もなんのその)とガッチリ手を組んでROMANEX 格闘技世界一決定戦を開催。
5月22回の第1回大会は全戦ガチンコ。その顔ぶれにはK-1…というかFFGに引き抜かれた元PRIDE勢と、ゼロワンの元常連外国人の二人(プレデターとハワード、共にあっけなく惨敗)あとは猪木の息のかかった面々が名を連ねていた。そのなかでも藤田和之、中邑真輔は今大会要の存在であった。藤田の相手はボブ・サップ。興行的、テレビ的の両輪で数字の稼ぐための分かりやすいカードだし、中邑の相手は憎っくきイグナショフである。
その同月、新日本はその流れとは別路線でK-1と対抗戦を敢行。しかし何を血迷ったかすでに時代遅れとなった異種格闘技戦を復活させてしまう。そのなかで唯一の好カードのはずだった武蔵対柴田勝頼戦がダダ滑りし、挙句メインのIWGP戦では中邑真輔がボブ・サップに圧殺され新日本弱しをまたしても満天下に晒してしまう。
さらに不運は重なる。ドームで中邑を破ったIWGPチャンピオンのサップが先述したK-1のMMA大会で藤田に完膚なきまでに叩き潰されたのだ。だがしかし…その藤田もこの数年でミルコやヒョードル相手に失地回復も果たせず仕舞い。もはや「強さ」の概念で新日本はマット界の頂点に返り咲く事は不可能に近い状態であった。
純プロレスの砦、プロレスリングノアは聖域と化し、武藤率いる全日本プロレスは独自スタイル、興行のパッケージ化を完成させつつあり良くも悪くも鎖国状態、そしてプロレスファンの嗜好はどんどんと分断化の一途を辿っていく。
6月29日
橋本真也、靖国神社へ
続く