橋本真也の世界 | 珈琲にハチミツ

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「ウアアァァーッ‼︎」
 
嫌なものをみた。

それは雄叫びともいえない。どんな共感も呼ばない。人として、何かが切れてしまったかのような、決して人前で晒してはいけない類の叫びであった。
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橋本真也と小川直也の初タッグは最悪の形で幕を開けた。

横浜アリーナの駐車場、会場入りの隙を狙った村上和成の襲撃により負った傷は深く、額から鮮血を滴らせながら入場してきた橋本。試合前にマイクを持ち「小川!村上に、何で俺を襲わせたぁ!何考えてんだオマエは!」と悲痛に訴えるもマイクの途中で対戦相手のビックバン・ジョーンズの奇襲をうけてしまう。

本来、橋本小川組の相手は天龍源一郎と高田延彦が予定されていた。しかしこの突発的すぎるマッチメイクに不快感を感じた高田がこれを断固拒否、急遽高田の代役として抜擢されたのがこのビックバン・ジョーンズと名乗る謎の外国人レスラーである。一方で橋本と久しぶりの再会となった天龍だったが、当の橋本は入場の時点で青息吐息。パートナーの謎の外国人はデカイだけが取り柄でほとんど素人のような立ち居振る舞い…所謂木偶の坊、みるみる天龍の表情が冷めていき不機嫌モードとなっていく。

この試合で見るべきものがまだ残っているとすれば、小川と天龍の異色対決であったがそれも長くは続かず試合の流れは突如一変することに。

小川に交代を促されムッとした橋本は入れ替わり際にキックを叩き込み場外へ吹き飛ばす。が、この茶番劇にとうとう怒りが頂点に達した天龍。フルスイングの逆水平チョップを橋本の喉元へぶち込んでいく。それも全弾(!)。

そして試合開始から8分を過ぎた頃、橋本にはすでに起き上る体力は残っていなかった。ビックバン・ジョーンズのとろくさいエルボーに3カウントを奪われ、ようやく試合が終わった。恐らく橋本のファイティングロードの中でも3本の指にはいるであろう大凡戦であった。

試合は終わった。しかし橋本なかではまだ何も終わっていなかった。リング上、なんとかマイクを掴み、フラフラ状態でようやく立ち上がる。
「オガワァァーー……ァァ…」

「4月7日ィ!い引退を賭けてオマエとやるぞおォォォ!!それでどうだオガワァァァァッ!!!」

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小川「………」


一部の温かいファンからは歓声が上がっていたが、この横浜アリーナにいる人間のほとんどが橋本の言葉に疑問を抱いたのではないか。

だが、それでよかった。橋本は全てを置き去りした。その眼に映るのは小川のみ、ここへきて完全に小川戦を「自分のもの」とした橋本。そこには猪木も藤波も長州も誰も立ち入ることのできない、橋本真也だけの世界が生まれた。

組織の権力者達に翻弄され続けてきた男の逆襲が今始まる。


続く