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突然ですが「NBM(ナチュラルボーンマスター)回顧録」をスタートします!この新シリーズは、生まれながらにして天才こと武藤敬司の軌跡を時系列を無視して語り倒す内容となっております。

なんの脈絡もないスタートで恐縮ですが、よかったらお付き合いくださいませ(`_´)ゞ

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1999年4.10東京ドーム(6万3500人超満員)
メインイベントIWGPヘビー級選手権試合
武藤敬司VSドン・フライ


話は一旦、同年1月まで戻る…世紀末のマット界は騒然とした状況で幕を開けた。

1月4日東京ドーム
小川事変勃発、破壊王橋本真也が破壊される。同日、大仁田厚登場。(健介戦で火炎攻撃で反則負け)

1月31日ジャイアント馬場 死去

何かの磁場が狂ってしまったのか?新日に限っていえば、ドームツアーの成功とnwoブームにうかれていたあの頃はもはや遠い過去となっていたかのようだ。

90年代新日本プロレスの主役、闘魂三銃士も危うい状況に陥っている。まず橋本真也、小川戦以降完全に塞ぎ込んでしまい公の場から完全に姿を消してしまう。一方蝶野正洋は前年爆発した首の負傷が癒えず、一応復帰はしたものの全盛期とはほど遠いコンディション。しかも大仁田厚に目をつけられてしまい長州戦への踏み台にされてしまう。

そして武藤敬司。ドームでのスコットノートン戦、次いで佐々木健介とタイトル防衛戦をこなし、純プロ路線をコツコツと邁進していた。が、そんな武藤にもイレギュラーな強敵が立ち塞がる。ドン・フライである。

1997年、小川のライバルといった位置付けでセミレギュラー参戦していたフライ。翌1998年には小川を2度マットに沈め、なんとアントニオ猪木の引退試合の相手までつとめている。その後もシングルマッチで静かに実績を重ねるフライ。12月大阪の永田戦、1999年3月広島で藤波戦と、得意のオープンフィンガーグローブ着用による合法的な?パンチ攻撃で対戦相手をマットに沈めてきた。

そして4月10日東京ドームのメインでIWGPタイトル初挑戦が正式決定。決して楽な相手ではない。名伯楽ブラット・レイガンスをマネージャーに携えプロレスリング対策も万全に見える。

当時のカオスな空気がそうさせたのか、武藤はカード決定後に非常にらしくない発言をする。
「プロレスは俺が守る。」武藤談

フライ戦を前に武藤はパンチ対策として燃えさかるこん棒(!)をフライのパンチに見立ててディフェンスの特訓を敢行する。
※当時…さすがにこれには笑ってしまった(;^_^A昨年の後藤の滝特訓の比ではないマンガチックな展開。笑ってしまい正直スマンかった‼︎

ともあれ大仁田VS蝶野の電流爆破マッチも決まりドームのカードは揃った。まぁこのカードは話題性はあるが、あくまで亜流にすぎない。1.4の橋本に続いて武藤まで格プロ系に連敗しては立つ瀬がないだろう。となかなかスリリングな状況に置かれてしまった武藤は果たしてプロレスを守れるのか…


当日、案の定パフォーマンスに終始した大仁田戦を尻目にドン・フライ威風堂々の入場。と思いきや怒号のようなブーイングとゴミの嵐がフライを襲う。大仁田の影響もあったと思うがこれは逆にオイシイ展開だ。リングに上がる直前、飛んできたペットボトルを顔面スレスレ涼しい顔でかわすフライに戦慄を覚えた記憶がある。
そして武藤敬司の入場(テーマ曲はもちろんトライアンフnwoバージョン)!しかし華やかさの影にどこか哀愁が漂うようになってきたのもこの頃かもしれない…

試合開始。立ち上がりを制したのは武藤だった。ゴングと同時にドロップキックで奇襲。ムーンサルトプレスを決め間髪入れずにアキレス腱固めでフライを早くも捕らえる!しかし関節技はフライも得意とする所、アッサリ脱出され試合は振り出しへ戻ることに。

戦前、どこからか武藤の膝のカルテを入手していたフライは(武藤のセコンドに付いたテンコジもタオルを厳しい表情で握り締めていた…)武藤の膝にパンチを叩き込む無慈悲な戦術を実行する!

時折フライの膝蹴りを捕えて強引にドラゴンスクリューで反撃するも、足四の字固めに移行する途中で下からパンチを浴びてしまいなかなかペースをつかむ事ができない。四方八方から飛んでくるフライのパンチになす術がなくなってくる武藤。とにかくフライのパンチはうんざりするほど執拗だった。スタンドの状態でスリーパーを掛けられた時はドームがため息に包まれた。

がここで武藤は思いもよらない反撃にでる。スリーパーを柔道仕込みの投げで返すと、立ち上がってきたフライへなんと頭突きの連打!これにはフライも虚をつかれたか、再びドラゴンスクリューの餌食に。しかし冷静なフライ。またもや下からのパンチで武藤の体勢を崩しマウントポジション完成。強烈なパウンドを振り下ろし、グロッキー状態の武藤。

万事休すか……と諦めかけた瞬間、武藤は一瞬パウンドの間を逃さずポジションを入れ替えその刹那に腕ひしぎ逆十字固め!これぞジーニアスの閃きか。それとも戦前から狙っていたのか。大歓声のさ中、フライはもはやタップすることしか出来なかった。


こうして自身の宣言どおりプロレスを守った武藤。溜飲を下げたドームは束の間の安堵感に包まれる。

しかし半年後舞台は同じくドームで、再び悪夢が新日本プロレスに降りかかるが…それはまた別のお話。


終(`_´)ゞ