次なる敵は見えない相手、膵液漏。
過剰に漏れると内臓や血管をも溶かす恐ろしい敵です。
この敵に対しては静かに戦うしかありません。
メインは絶食。そして、1日3回の膵液の分泌を抑える注射。これだけです。
絶食するので、首からカテーテルで、心臓の近いところまで静脈に挿入したカテーテルで直接、高カロリーの栄養を点滴します。点滴は24時間。ネオパレンという点滴1000mlを1日に2袋点滴します。昼の12時と夜の12時に交換します。途中、抗生物質も同時に点滴します。
食事がないことは、入院患者にとって非常につらいものです。入院生活はそれでなくとも単調です。ただ、朝昼晩の定期的な食事があれば生活にリズムができます。
しかし、絶食にはそれがありません。
加えて身体は、まだ傷口が痛みます。自由になりません。ベッドから降りることが一仕事。管も複数あり、その処理をしているとなんだかんだで、あっという間に5分くらいかかります。
なので排泄はベッドの上で行います。小は尿瓶で自分でできますが、困るのは大。おむつ着用です。手術直後からずっとです。
こんな状態で、膵臓の一部損傷した部分が自然治癒するまでひたすら待つしかありません。
この間もリハビリは続けていました。1日1回、理学療法士の齋藤さん(週に1日伊藤さん)が来てくれて20分ほど歩行練習をします。20分とはいっても準備に時間がかかります。ベッドを起こし、血圧を測り、管を絡まない様に処理して10分。なので歩行練習は正味10分くらいしかありません。それでも初めは10メートルくらいしか歩けなかったのが、毎日少しずつ距離を伸ばし、直線100メートルはある長い廊下を歩くと、一歩一歩響いてくる痛みをこらえながら1往復できるようになり、それを2往復に伸ばし、だんだんと距離を伸ばして行きます。
リハビリの時間以外も、ベッドの前で管が届く範囲の1メートルくらいのところを足踏みするという自主トレもやっていました。
このように見えない敵と戦いながら、絶食し3週間が過ぎたころ、やっと膵液漏がおさまってきました。レントゲン、CT、血液検査の結果からほぼ完治したと診断されました。
時は流れ季節はもう秋。9月も中旬を過ぎていました。
そのころ看護師さんに頼んで撮ってもらった写真です。
傷口はかなり綺麗になりました。
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20160408/11/obinatanoboru/b8/f7/j/o0540096013614666449.jpg?caw=800)