こんばんは。ゴマフアザラシ担当です。
出産を予想していた3月が終わり、4月に入っても産まれる気配が無く、もしかしてそのパンパンのお腹太り過ぎじゃないよね…?いやいや、そんな事は無いはず、胎動もあるしおっぱいも張ってきているぞ…と自問自答を繰り返す日々…。
初めての投稿に緊張気味ですが、嬉しいお知らせがあるので頑張って書いていこうと思います!
さて、ホームページや公式Twitterなどでもうご存知の方も多いのではと思いますが、
4月19日にゴマフアザラシの赤ちゃんが誕生しました!✨
まず、私がゴマフアザラシの担当になったのは2019年の4月。まだ飼育員としての仕事もよく分からないうちに、「今年の交尾を確認しているから来春に出産するかもね」と前の担当者からお話をいただきました。
アザラシの赤ちゃんを間近で見れるかも?!というワクワクと、高齢出産になることや、もし育児放棄をされたら等、大きな不安を感じたことを今でもはっきりと覚えています。
それから時は流れ2020年3月。お腹が大きくなってきてはいるが、脂肪という可能性も無くはない…とよーく観察していた時にぐねぐねとお腹が動く(胎動)を確認しました。
胎動が見られたことで、妊娠が確定し、そこからはモモに安心して出産してもらうための準備を進めました。
お父さんのカイは発情期を迎えており、モモの出産の邪魔をしてしまう可能性を考慮し、室内プールへの隔離を行いました。
それから、生まれたばかりの赤ちゃんが目の届かないところでプールに入り、万が一上がってこれなくなったら…という場合を想定して、夜間は水を抜き、日中も水位を低めにする対策を取りました(日中に出産を確認したらすぐに水を抜く予定でした)。
「よし!モモちゃん!いつでも産んでくれていいよ!」
と担当は意気込み、時期的にもそろそろ産まれると思います!と周りの職員にも伝えていたのですが…
待てども待てども産まれない…。
ゴマフアザラシは出産が近づくと食欲が落ちる、陸上で出産場所を探す、陣痛に耐える様子が見られるなどの兆候があると聞いていました。
しかし、モモ母さんは食欲旺盛、よく泳ぎ、よく動く。
出産を予想していた3月が終わり、4月に入っても産まれる気配が無く、もしかしてそのパンパンのお腹太り過ぎじゃないよね…?いやいや、そんな事は無いはず、胎動もあるしおっぱいも張ってきているぞ…と自問自答を繰り返す日々…。
ゴマフアザラシの寿命が30年前後と言われている中で、モモは今年27歳になった高齢個体です。死産や母体への影響等、最悪の事態も考えざるを得無い状況でした。
このまま待ち続けてもいいものか…と悩んでいた時に、他の園館の方から陣痛促進剤を投与したことがあるという話を教えてもらいました。
これまで注射をしたことがないモモにとってリスクもありましたが、獣医師や他の職員と相談し、4月19日まで待って、それでも産まれなかったら投与しようという話でまとまりました。
お腹がいかにパンパンかがよく分かる写真ですね。
予定通り注射をしようと決まり、13時15分に頸管拡張剤、20分に陣痛促進剤を投与しました。
30分ほどで変化が見られなければ、追加の注射が必要と聞いており、30分経ってもモモの様子に変わりは無かったため、追加の注射を行いました。
痛みに耐えるような苦しそうな様子は見せるもののなかなか産まれず、さらに追加の注射をして待ち続けること3時間…
…
……
………
16時22分 元気な赤ちゃんが誕生しました!
しかし、今回は陣痛促進剤を使用したことで多くの職員が見守る中での出産となり、赤ちゃんが生まれた時には感動と安堵の温かい空気でその場が包まれました。
出産後のモモや赤ちゃんの様子もお伝えしたかったのですが、非常に長いブログになってしまったため、また後日改めて書こうと思います。
生まれてから6日が経ちましたが、赤ちゃんは非常に元気にすくすくと育っています。
新型コロナウイルス感染症の感染予防のため、開園が延期となり、残念ながら白い産毛の姿を直接見ていただくことは出来ませんが、SNS等を通して赤ちゃんの成長をできる限り伝えていきたいと思っています。
画像や動画の発信を楽しみに待っていてくださると嬉しいです。
それでは、赤ちゃんが健康に大きく成長することを願って…。