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マルセル・プルースト
長いあいだ、私は早く寝るのだった。ときには、蝋燭を消すとたちまち目がふさがり、「ああ、眠るんだな」と考える暇さえないこともあった。
もう彼女の家の前で自殺する以外になかっただろう。
自分自身について自分の描くイメージと他人の描くイメージとのあいだのこの落差。
「まったく俺ときては、大切な人生の数年を無駄にしちまった、死のうとさえ思い、あんな女を相手に一番大きな恋愛をしてしまった。俺の気に入らない女、俺の趣味でない女だというのに!」
美しさと、ふしだらと、エレガンスとであまねく知られているこの婦人。
嫉妬する男は、恋人からさして重要でない多くの快楽を奪って、相手を激昂させる。
私が神に願うことのできる最大の幸福は、彼女の上にいっさいの災難が襲いかかるようにしてもらうことだったろう。(中略)私を彼女から引き離しているすべての特権を失い、もはや住むべき家も、挨拶してくれる人もなくなって、私に隠れ家を求めに来ることだったろう。
人が何かを愛するのは、そのなかに近づくことのできないものを求める場合だけだ。所有していないものしか人は愛さない。
私を苦しめにやって来たこの見知らぬ男はいったい何者なのかと自問した。この見知らぬ男、それは私自身だった。当時の少年だった私である。
海を背景にして、まるで豊かな装飾の塊が多様で勝手気ままに増殖するかのように現れたのは、太陽に焼かれ潮風に吹かれて金色とバラ色に同時に染め上げられた処女たちの、美しく展開される隊列。
多くの少女や若い婦人たちの、それぞれ違った顔が私たちにとって魅力を持ち、なんとしてでも再会したいという狂おしい欲望をかきたてるのは、いよいよという瞬間に彼女たちがするりと逃げてしまったからからにすぎない。
ある男たちが、たとえば柄つき眼鏡を持っている婦人たちや馬を乗りこなす女たちに対して示す好み。
たとえその肉体は私の肉体の言うなりになっても、思考は私の思考の下からするりと逃げてしまうのだ。
恋愛において私たちの幸福なライヴァル、つまり私たちの敵は、恩人である。とるに足りない肉体的欲望しか私たちに惹き起こさなかった女に、彼はたちまち途方もない価値をつけ加える。