こんにちは。
お立ち寄りくださってどうもありがとうございます。
いつも感謝です。
そろそろ夏の猛暑もピークを過ぎたのではないでしょうか?
今朝はいつもよりも外気が涼しかったですね。
雨が降る毎に季節は変化していくのだなあと感じます。
今日は「小公女」のお話を紹介します。
この小説は1988年にアメリカの作家、バーネットにより執筆されました。
日本でもテレビアニメ化されたので、
年代問わずにご存じの方は多いのではないでしょうか?
《小公女》
時は19世紀のロンドン。
ある夜、一台の馬車がロンドンの街を走ります。
乗っていたのは7歳の少女セーラとその父親クルー大尉です。
セーラは父親とインドで暮らしていましたが、当時の習慣に従ってロンドンの寄宿学校に入学するためにイギリスに帰ってきていたのです。
当時インドで暮らすイギリス人の子女たちは、年頃になると親元を離れてイギリスで勉強するのが習わしでした。
セーラはたった一人の身内であるクルー大尉と離れ、ミンチン女学院へ入学したのでした。
彼女が入学した学院では、父親の学校への寄付を当てにするミンチン院長から特別な待遇を与えられましたが、セーラ本人はそのことを鼻にかけることも無く、少女ながらに気高い心のプリンセスであるかの振る舞いをしていました。
学校生活も長くなり、セーラの11歳の誕生日が近くなったある日、父親のクルー大尉からの手紙が届きました。
手紙には、クルー大尉は友人と一緒にダイヤモンド鉱山の事業を始めたこと、体調が思わしくないことが記されていました。
いよいよセーラの誕生日のその日、学院で盛大に誕生会が行われようとしたその時、なんと、父親のクルー大尉の事業の失敗、破産そして突然の訃報が知らされます。
するとミンチン院長は手のひらを返したようにセーラに冷たく当たるようになりました。
上等な持ち物をすべて取り上げ、屋根裏部屋に住まわせ、きつい労働をさせながら授業に出るようにさせたのです。
セーラは悲しみに浸る間もなく、今までの生活とは打って変わった学校生活を強いられますが、それでも気高い心は変わること無く気丈に振る舞うのでした。
そんな中、あるとき屋根を伝ってセーラの部屋へ一匹の猿が迷い込みます。
それをきっかけに隣に越してきた紳士、カリスフォド氏がセーラの存在を知ります。
カリスフォド氏は、実は無くなったセーラの父親と一緒に事業を興した友人でした。
クルー大尉の亡き後、事業が成功し、残された彼の娘、セーラをどうにかして探し出そうとしているところでした。
ところがクルー大尉の娘はロシアにいると情報があったため、屋根裏部屋の少女が、彼が探している親友の娘その人だということは全く想像もしていなかったのです。
そうとは知らず、カリスフォド氏はセーラの居ぬ間に部屋を改造したりプレゼントを置いたりと、セーラを喜び驚かせるようなことをしていきます。
やがてセーラはカリスフォド氏の家に出向くことになり、そこでようやくセーラがクルー大尉の娘であることを知るのです。
莫大な財産を譲り受けることになったセーラはカリスフォド氏に引き取られ、元のような(それ以上の)不自由の無い生活を取り戻します。
ミンチン院長は悔しがり引き留めますがどうにもなりません。
一緒に働いた学院の小間使いのベッキーはセーラと共に引き取られ大団円となりました。
《おしまい》
ロンドン、馬車、お嬢様、寄宿舎、暖炉、屋根裏部屋・・・、
ドラマチックできらきらのワードがいくつもちりばめられたこの小説には、日本の少女たちの憧れがたくさん詰まっている物語でした。
女同士のいじめや妬みと、貧しくも清く正しく美しい少女なんて、まさにおいしさ満点(?)ですね!
そんな中、よくわからないけど何か素敵な響きを持った、
「ダイヤモンド鉱山の事業」というワードに、子供時代の私は引っかかりました。
バーネットが生きたこの時代というのは
東インド会社によりイギリス人がたくさんインドに渡り、
これからダイヤモンド事業が大々的に始まるというときでした。
ダイヤはインドでしか産出されないと考えられていた時代もやがて終わりを迎え、
工業化が進み、幅広い地域で鉱山の開発が行われ、
大量に産出されるようになっていったのです。
物語のクルー大尉は、当たるか当たらないか未知数の鉱山を開発する「ヤマ師」だったという事でしょうか。
言葉を置き換えると、ちょっとえげつない印象になりますが。
ダイヤモンドの世界に生きた事業家の家族によって、
その時代の空気が垣間見えた、そんな小説でした。