持病があるけど、妊娠しているけど、新型コロナワクチンはうてるの?各学会の声明まとめ | ひねもすのたりのたりかな

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新型コロナワクチンの接種が進む中、疾患等を理由として接種に対して不安を持つ人を対象に、各学会が声明を出しています。

結論から言うと、白血病や癌などの悪性腫瘍、膠原病など免疫力を調節する薬剤を投与されることの多い自己免疫疾患や指定難病、妊娠中の方についてはこれらの健康状態を理由に新型コロナワクチンが禁忌(投与してはいけない)となるケースはありません。

 

■日本小児科学会

「新型コロナワクチン~子どもならびに子どもに接する成人への接種に対する考え方~」

対象:子供(12歳以上)

要旨:まずは子どもの周囲への成人の接種を進める。そのうえで、12歳以上の子供へのワクチン接種は本人と養育者が十分に理解したうえで進めることが望ましく、個別接種を推奨する。

■日本産科婦人科学会

「―新型コロナウイルス(メッセンジャーRNA)ワクチンについて―」

対象:妊婦

要旨:妊娠初期を含めワクチンは妊婦・胎児双方を守る。希望する妊婦はワクチンを接種できる。持病のある妊婦はとくに接種を検討すべきである。

■日本血液学会

「新型コロナウィルス感染症蔓延下における血液疾患診療について」

対象:血液疾患患者

要旨:基本的にワクチン接種は推奨されるものの、治療の状況に応じてワクチン接種の効果が減じる可能性があるため、主治医と適切なタイミングを相談する。

■日本神経学会

「COVID-19 ワクチンに関する日本神経学会の見解」

対象:神経疾患患者

要旨:現時点では神経疾患(脳卒中、認知症、神経難病)を対象としたエビデンスはないが、海外のデータから副反応は一過性のものに限られ、アナフィラキシー以外には重篤な健康被害はみられていないことから、リスクは小さいものと考えられる。

■日本骨髄腫学会

「骨髄腫患者に対する新型コロナウイルス(COVID-19)ワクチン接種について」

対象:骨髄腫患者

要旨:骨髄腫患者は重篤化と死亡のリスクが高いと推測され、ワクチン接種による罹患率と重篤化防止が期待できるが、接種タイミングは患者ごとの免疫不全状態をみながらの判断となる。

■日本リウマチ学会

「COVID-19ワクチンについて」

対象:リウマチ性疾患患者

要旨:ステロイドをプレドニゾロン換算で5mg/日以上または免疫抑制剤、生物学的製剤、JAK阻害剤のいずれかを使用中の患者は他の人たちよりも優先して接種したほうがよい。通常のワクチン接種の場合、免疫抑制剤やステロイドを中止・減量することはない。

■日本麻酔科学会

「mRNA COVID-19 ワクチン接種と手術時期について(5月18日修正版)」

対象:手術予定患者

要旨:待機手術もワクチン接種後すぐに行うことができるが、数日間(最大1週間)空けることで、術後の発熱などの症状が副反応か手術によるものかが区別できる。

■日本癌治療学会、日本癌学会、日本臨床腫瘍学会

「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)とがん診療について Q&A-患者さんと医療従事者向け ワクチン編 第1版-」

対象:がん患者

要旨:がん患者における重症化の可能性を考慮すると、ワクチン接種はベネフィットがリスクを上回ると思われ、接種が推奨される