便秘薬の新薬ラッシュ! | ひねもすのたりのたりかな

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日常の診療を通して思ったことや感じたことを書いています

1月から2月にかけてはだいぶ寒い日が続きました。

みなさんお元気で過ごされていましたでしょうか?

昨年末から久しぶりのブログ更新です。

我が家では先月真冬のキャンプをしてきました。

真冬のキャンプは毎年1回は行っているのですが、これがなかなか楽しいのです。

キャンプと言えば初夏から夏にかけてのイメージが強いと思いますが、最近自分的には冬こそキャンプの季節と感じるようになっています。

冬キャンプの魅力は

①空いている

②虫がいない

③暖かくしたテントの中で美味しいお鍋が食べられる

④星空が綺麗

⑤雨の心配がほとんどない

などです。

楽しく過ごすコツは防寒の準備につきるのですが、それさえクリアできれば最高に楽しい遊びです。

 

で、冬といえば便秘です。なぜか冬になると便秘が悪化して来院する方が増えるのです。

教科書に「冬は便秘に注意すべし」と書いてあるわけではありませんが、1年を通じて診療していると明らかに冬の方が便秘の状態が悪くなる方が多くなる印象があります。理由はいくつか考えられるのですが、おそらく①気候が寒いので屋外での活動時間が短くなる(運動量が減る)②水分摂取が減る③寒さの影響で交感神経優位になって腸管蠕動が抑制される

などが影響しているのではないかと考えます。


さて便秘の治療薬ですが、この数年新薬ラッシュが続いています。昨年1種類、今年も既に1種類の上市が決まり、その後も1種類が予定されています。

(1)リンゼス錠(一般名リナクロチド)

この薬は腸管上皮の表面に存在するグアニル酸シクラーゼC受容体という部分に作用し、腸管内への水分分泌を促進させて排便を促します。基本的には先行して発売されているアミティーザ同様クロライドチャネル・アクチベータに作用することで水分分泌を促す薬です。アミティーザとの相違点は大腸の痛覚過敏を改善することにより、腹痛・腹部不快感を改善する効果を持ち合わせている点です。そのため便秘型の過敏性腸症候群が適応となっています。 昨年3月から上市され今年の3月から長期処方は解禁となりました。

(2)グーフィス錠(一般名エロキシビバット)

回腸末端部の粘膜細胞に存在する胆汁酸トランスポーター(IBAT)を阻害し、胆汁酸の再吸収を抑制することで、大腸管腔内に流入する胆汁酸の量を増加させます。胆汁酸は大腸管腔内に水分を分泌させ、消化管運動を促進させるため便秘治療効果が発現します。 今年の5月頃に発売される予定です。

(3)MOVICOL(一般名ポリエチレングリコール)国内未承認

大腸内視鏡検査の前処置で用いられている成分の濃度を調整して浸透圧性下剤として製剤化したものです。海外では欧州を中心に便秘のファーストラインの薬として広く用いられていますがドラッグラグのため国内では用いられていませんでした。現在国内第3相臨床試験を行っているので間もなく使用できるようになると思います。

 

これらの便秘薬に共通した特徴はいずれも「非刺激性下剤」に分類されるということです。

便秘薬は大きく刺激性下剤と非刺激性下剤に分類されます。刺激性下剤はセンナ、大黄、ピコスルファート、ビサコジルなど大腸の筋層にある神経細胞を刺激して蠕動運動を促すタイプの薬剤のことを指します。効き目が素早く速効性がありますが依存性や難治性便秘症になってしまうリスクが付きまといます。

非刺激性下剤は腸管内の水分を増やすことで便を軟便化して腸蠕動をより自然な形で促し排便につなげる作用を持った薬です。昨年公表された2017年便秘治療ガイドラインでもこれら「非刺激性下剤」が第1に推奨されています。最近までは非刺激性下剤というと酸化マグネシウムぐらいしか選択肢がありませんでしたが、今後は色々な選択肢が広がり患者さんの体質や便秘の特性にあった治療が可能になることが期待されます。

 

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柴犬もやっぱり暖かいのが好きなのです(^^)

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