コロナ禍の2年で家計支出はどう変化したか?。 | ★マエちゃん噴泉記★【大阪DE農業】

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「夫のこづかい月1万円割れ」の衝撃

新型コロナウイルスの新規感染者数は高止まりの状態が続いているものの、政府は3月11日、まん延防止等重点措置の解除基準を緩和するなど、経済の回復に向けて少しずつ動き出している。人々も徐々に元の日常を取り戻しつつあるが、総務省が公表した2021年の「家計調査」によると、コロナ前の2019年と比ベて、2021年は平均でパック旅行費は82.3%減、航空運賃は74.7%減、飲酒代は76.7%減と、約2年にわたるコロナ禍の消費の変化は、想像以上に大きいものだった。

 

【表】コロナ前の20年とコロナ禍の家計の変化。「こづかい」のほか「被服費」も大きく減少

旅行や飲食などのほか、家計の出費の中で特に大きく減少したのが「こづかい」だ。表は、家計調査の中から働き盛りである「45~49才の勤労者世帯」の家計の変化を、家計の見直し相談センター代表でファイナンシャルプランナーの藤川太氏がまとめたもの。コロナ前までの20年間(2000~2019年)の変化率と、2019年から2021年までのコロナ禍での変化率を示している。最も目を引くのが、コロナ禍で22.3%も低下した「こづかい」の激減ぶりだろう。

 

こづかいの減少傾向は、コロナ前から既に始まっている。表の「こづかい」は、2000年の月3万2574円からコロナ前の2019年には1万2456円へと、20年間で62%も減り、コロナ禍ではさらに加速。2021年には9678円と、ついに1万円を割り込んでしまった。1日当たりに換算するとわずか320円あまり。働き盛りのサラリーマンにとってはなんともつらい現実だ。藤川氏が分析する。

 

「所得が上がらず家計が厳しくなるなか、真っ先に削られるのが夫のこづかいです。ただ、こづかいが激減した夫にとって不幸中の幸いだったのは、コロナ禍で外食の機会が減っていることではないでしょうか。家計の外食費を見ると、コロナ前の20年間は増加しましたが、コロナ禍で23.5%も減っている。一方、家計に占める酒類の出費はコロナ禍で21.9%も増えており、『会社帰りの一杯』から『家飲み』へとシフトしている様子がうかがえます。

 

また、こづかいだけでなく、例えば被服費もコロナ前の20年間で23.5%減となり、コロナ禍ではさらに21.7%減と大幅に減っています。在宅勤務が増えたこともあり、新しい服を買わなくなったことに加え、ユニクロやしまむらといったファストファッションが普及していることも要因と見られます」

 

自動車保有台数は増えても新車販売台数は減少

こづかい同様、家計の苦しい状況を表しているのが子供の「教育費」だ。

 

「教育費の変化も注目です。かつては、夫のこづかいとは真逆で子供の教育費は“最後の聖域”と言われ、最後まで手をつけない家庭が多かったのですが、コロナ前の20年間で2割減、コロナ禍でも減少傾向が見られ、もはや聖域ではなくなっています」(藤川氏、以下同)

 

反対に、スマホの普及によって増加しているのが「通信費」だ。菅政権時代の「携帯料金引き下げ」の効果もあり、コロナ禍では5.8%減となったものの、コロナ前の20年間では53.6%も増加。また、自動車購入や維持費などの「自動車関連費」も大幅に増えている。コロナ禍で2割近く減ったとはいえ、コロナ前の20年間で5割以上も増加、家計に占める金額は2020年よりも多い。

 

「若者のクルマ離れ」が言われて久しく、国内の新車販売台数も2020年には500万台を割り込むなど減少傾向にある。しかし、国土交通省のデータを見ると、2020年の自家用車の保有台数は約7974万台と、2019年の約7970万台と比べてわずかながらコロナ前よりも増えている。

 

「新車が売れていないのに保有台数が増えているのは、車の買い替えサイクルが延びていることが要因です。自動車工業会の「乗用車市場動向調査」によると、乗用車の平均保有期間は2001年には5.5年でしたが、2019年には7.1年へと長期化しています。この間に収入の減少傾向が続いた一方で自動車の価格は高くなり、買い替えのハードルが高くなりました。10年以上乗り続ける人は年々増え、2019年には29%にもなりました。

 

ガソリン代が高騰するなか、特に車社会の地方では、燃費の良いハイブリッド車やEV(電気自動車)に買い替えようにも、その購入費用もままならないのでしょう。買い替えサイクルが延びると車検や修理費用などの維持費がかさみ、家計の負担は増すばかりです」

 

コロナ前の20年間、そしてコロナ禍によって、通信費と自動車関連費が増大する一方、交際費や被服費、さらには保険料などを大きく減らす節約は進んでいる。ただ、コロナ前から最も大きく減らされているのがこづかいとは、世のサラリーマンにとってはなんとも厳しい現実だ。