書道で字を書き終えた後の筆洗いを、もっと簡単にできないか――。そんな思いを形にした「よごれま洗(せん)容器」が、神奈川県青少年創意くふう展覧会に出品され、毎日新聞社賞を受賞した。
「発明者」は茅ケ崎市立香川小6年の門澤ななみさん(12)。
材料は洗濯用洗剤の容器だ。容器の下側を切り取ってひっくり返し、容器の口を排水口に差し込んで用いる。「持ち手」の部分を握りながら容器の内側に筆を押しつけて洗うと、流された墨汁はそのまま排水口に流れ込み、洗い場が汚れてしまうのを防げる。
門澤さんは普段は自宅の外の蛇口で筆を洗っているが、雨の日や寒い日には室内で洗うという。その際、洗面器が汚れたり、服に墨が飛んでしまったりすることに以前から不便を感じていた。
そんなある日、洗面所をふと見渡すと、洗濯用洗剤の容器が目に入った。容器の口の部分と排水口の穴の大きさが同じくらいだと気づき、試してみたところ「どんピシャでした」。頭の中で一気にイメージが膨らんだ。
加工の際は容器の硬さにつまづいたが、カッターで途中まで切り込みを入れ、最後はキッチン用の強力なはさみで切った。図工が苦手だという門澤さんは「楽しかったが大変だった」と振り返る。
水泳の練習に週6回通う合間に、10歳から習字を始めたという門澤さん。発明を通じ、書道にさらに前向きになった。「誰が見ても読みやすいきれいな字が書けるようになりたい」と意気込んでいる。【池田直】