【ここまで劣化した国に希望はあるのか】
札ビラで頬を叩く卑劣なやり方は、岸田政権にも受け継がれている。経済対策との触れ込みで21年度補正予算に1.8兆円も盛り込んだ「マイナポイント第2弾」と称したバラマキ。マイナンバーカード取得者に買い物などに利用できる最大2万円分のポイントが付与されることになるが、すでに申請件数が急増している。総務省によると、交付枚数は5000万を超え、安倍政権下での交付開始から6年を経て、普及率はとうとう40.6%に達した。
「第2弾が報道された11月初旬あたりから申請件数が増え始め、1日3万~4万件程度だったのが、9万件ほどに伸びました。10月の申請件数は約60万だったのが、11月は約154万件に倍増しました」(マイナンバー制度支援室)
国民をとことん軽視する政府与党がカネに糸目をつけず、取得を急がすのはなぜか。国民の一挙手一投足を見張り、監視社会の網を張り巡らせるためだ。臨時国会で野党議員が「個人情報を差し出せば差し出すほどポイントを付与する事業だ」と反対していた通りで、ポイント付与は3段階。まず新規取得者は5000円分のポイントが与えられ、さらに健康保険証としての利用登録と、金融機関の口座とヒモ付ければそれぞれ7500円分が受け取れる。カツカツの庶民に小金を握らせて監視体制を強めようというのだ。
ジャーナリストの斎藤貴男氏はこう言う。
「国民一人一人に個別番号を割り当て、個人情報を管理する国民総背番号制は1970年から大っぴらに検討され始めました。脱税防止を理由に納税番号を付ける『グリーンカード制度』が80年代に浮上するも、世論やマスコミの猛反発で頓挫。しかし、全国民に住民票コードを付番する住基ネットは2015年に全自治体で接続された。手を替え品を替えた総背番号制の最終形がマイナンバーカード。
23年3月までにほぼ全国民に保有させるのが政府目標です。この先に待ち受けているのは、中国と変わらない監視社会だと覚悟した方がいい」
2万円で監視下に置かれる暮らしを選ぶのか。