半信半疑で置いた「自動販売機」が好調 リンガーハットが驚いた“わざわざ”買いに来るお客の存在。 | ★マエちゃん噴泉記★【大阪DE農業】

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 リンガーハットが冷凍商品の自動販売機を次々と設置している。6月にとある店舗でテスト販売をしたところ売れ行きが好調だったため、12月末までに全国25店舗への設置を決めた。どういった背景があるのか、リンガーハットジャパンの営業管理部部長である西村浩氏に話を聞いた。

 

 自動販売機で取り扱っているのは、「長崎ちゃんぽん」や「長崎皿うどん」(いずれも450円)、「ギョーザ(12個入り)」(350円)、「チャーハン」(450円)など6種類だ。リンガーハットでは2012年ごろから冷凍食品を販売しており、現在は10商品を取りそろえている。自販機で販売しているのは、その中でも人気のある商品だ。設置場所は、店舗の入り口付近や駐車場の一角となっている。

 

 自販機の導入を決めたきっかけは、新型コロナウイルスの感染拡大により、各地の店舗が時短営業を強いられたことだった。売り上げが伸び悩んだことを受け、とある店舗の店長が「他のお店が自動販売機で冷凍食品を売っている。わが社もやるべきだ」と上司に提案。西村氏は「半信半疑で設置してみた」と当時のことを振り返る。

 

●販売してどうだったのか

 実際に販売してみてどうだったのか。西村氏は「売れ筋上位は、ちゃんぽんが3割、皿うどんが2割、ギョーザが2割だ」と説明する。意外だったのは、商品が売れる時間帯だ。店舗の営業時間中に8割、閉店後に2割売れているという。日中は、店内で食事をしたお客が帰る際に自販機で購入する様子が頻繁に確認されている。一方、残りの2割の利用者は、わざわざ店舗の敷地内まで深夜や早朝に買いに来ているのだ。西村氏は「いつでも購入できるという利便性が支持されているのではないか」と分析する。

 

 リンガーハットの冷凍食品は、通販だけでなく、各店舗でも取り扱っていた。販売方法は店舗によって異なるが、小さな冷凍ストッカーなどに入れており、POPでもその存在をアピールしていた。それなのに、自販機の売り上げが店内販売を上回るようになった。

 

 リンガーハットは、6月に実施したテスト販売後、自販機を追加で5台、関東エリアの店舗に設置した。駐車場があり、自販機の需要がありそうな店舗をピックアップした。11月末の段階で、自販機は10店舗で稼働している。12月中には追加で15店舗に設置する予定だ。

 

●他のチェーンも自販機を導入

 自販機を導入することで、現場の負担はどの程度増えるのか。西村氏によると「朝1回、店舗のスタッフが商品の補充や現品管理を行っているだけだ。それほどの負担ではない」と説明する。

 

 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、さまざまなチェーンが自販機の導入を進めている。非接触・非対面のスタイルなので、お客が安心して利用できるメリットなどが注目されている。

 

 例えば、牛丼チェーン「松屋」を運営する松屋フーズは11月18日に同社初となる冷凍自販機を都内の店舗に設置した。東京都内で30店近くを展開しているラーメンチェーン「福しん」も、冷凍のギョーザやラーメンを扱う自販機を設置している。

 

 リンガーハットではコロナ禍を乗り切るため、さまざまな取り組みをしている。すでに、全店舗ではテークアウトに対応している。ドライブスルータイプの店舗数は47店まで増えた。デリバリー対応店舗数も約360店となっている。設置を進める自販機は、新しい収益の柱に育つだろうか。