長野県警山岳遭難救助隊員 秋山穂乃果巡査長(27)
テレビ局カメラマンだった秋山穂乃果さん(27)は、被災者らにレンズを向けるより、手を差し伸べたいと感じていたときに、長野県警山岳遭難救助隊に遭遇した。意を決して警察官になって2年。隊員に選ばれた喜びと責務を胸に、交番勤務、救助隊、トレイルランニングのトップ選手と三足のわらじを履きこなす。
コツコツ型のタイプでした。運動は好きで、高校と大学で陸上の長距離をやりましたが、日本選手権に出られるほどの成績ではありませんでした。神戸大では練習で裏にある六甲山の上まで走って登ったりしていました。
平成29年ごろ、大阪のテレビ局でカメラマンをしていたとき、トレラン(山岳レース)の大会があるのを知って出場しました。このときは全然走れなかったのですが、経験があったので、練習したらいけると思いました。
しかし、報道の仕事をしていると練習時間が取れず、山にも行けません。そのころ、人が困っているのに助けないで映像を撮るより、何かできるほうがいいなと感じていました。
登山は母が好きで、幼いころから連れられ、信州の乗鞍や八ケ岳にも行きました。29年、母と北アルプスの涸沢(からさわ)岳に登ったとき、救助隊の人が、登山者の装備をチェックしたり、質問に答えたりしているのに出会いました。救助隊になりたいと思い、それで長野県警の警察官採用試験を受けました。
報道では災害現場などにいる警察官ばかり取材していましたが、実際に交番勤務をしてみると、そんなに大災害ばかり起きるわけもなく、困った人の役に立っている実感はあまりありません。また救助隊も当時、女性は1人だけで、なれるか不安でした。黙々と、3日に1回の当直勤務の前後にジムで筋トレやランニングマシンをし、休みの日には20キロほど走っていました。
そして昨年12月、世界選手権の代表選考レースでもある伊豆トレイルジャーニーの女子長距離の部で優勝。今年4月には、念願の救助隊にも入隊を果たすことができました。
救助隊の訓練は月に3回ほどあります。5月の大型連休では実際に救助の対応をしたほか、雪崩に巻き込まれた女性の救出も行いました。遭難者を担ぐなど体力面では男性に劣りますが、「女性だから安心できた」と言われ、存在意義を確認できました。(原田成樹)
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【秋山穂乃果(あきやま・ほのか)】 平成5年9月、兵庫県西宮市生まれ。28年、神戸大卒。同年4月から30年6月まで、在阪テレビ局のカメラマン。31年4月から長野県警の警察官。中野署を経て、令和3年4月から松本署管内の交番勤務、山岳遭難救助隊にも入隊。
○ワタシ想います。
いい顔なさっていますよね。ワタシ好きです。
頑張って、欲しいと思います。