NTT東日本の都内の固定電話への着信が制限されつながりにくくなる問題が、6日午前に起きた。重要なライフラインのもろさが明らかとなった。原因として疑われているのが、複数の自治体がこの日始めた新型コロナウイルスのワクチン接種の電話予約だ。受け付けはこれから全国で本格化するだけに、混乱が懸念される。
固定電話への着信は、6日午前9時から午前11時43分まで制限された。処理能力を超える電話が集中し、通信網が渋滞状態になる「輻輳(ふくそう)」が起きたためだ。
消防や警察への緊急通報は対象外だが、多くの固定電話が一時つながりにくくなった。家庭や企業だけでなく、コロナ対応をしている保健所や病院なども影響を受けた可能性がある。ツイッター上では「取引先に電話したら電話混雑でつながらず」といった書き込みが相次いだ。
要因と見られるのがワクチン接種の予約だ。ネットに不慣れな高齢者らが、いっせいに受け付け電話にかけたことが想定される。つながりにくいときに何度もかけ直すと、通信網の渋滞状況が悪化してしまう。
■「いつまで待てばいいのか」
新宿区では6日午前10時から電話とウェブで受け付けを始めた。今回の対象は75歳以上の約3万8千人。コールセンターには40回線を用意したが、午後7時の終了までずっとつながりにくい状態が続いた。
区のワクチン接種対策室によると、区民からの電話が区役所のほかの部署にもかかってきた。「なぜつながらないのか」「いつまで待てばいいのか」といった声があった。ほかの部署に対応を求める人もいたが、コールセンターへのかけ直しを要請することしかできなかったという。
多摩地域の中核都市の立川市でも用意した23回線がふさがった。広報課には「つながらない」との苦情があった。市役所内のほかの部署でも、つながりにくい状態が続いたという。