ヤングケアラー1学級1~2人か 国内10万人推計も 初の全国調査。 | ★マエちゃん噴泉記★【大阪DE農業】

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 家族の介護・世話をする子ども「ヤングケアラー」をめぐり、政府は12日、全国の教育現場に対する初の実態調査結果を発表した。公立中学2年生の5・7%(約17人に1人)、公立の全日制高校2年生の4・1%(約24人に1人)が「世話をしている家族がいる」と回答し、1学級につき1~2人のヤングケアラーがいる可能性がある。誰にも相談せず孤立しがちな実態や、健康・学業への悪影響も全国的に初めて裏付けられた。

 

 調査は昨年12月~今年1月、47都道府県の人口に応じて全体の1割にあたる中学1000校の中2(約10万人)、全日制高350校の高2(約6・8万人)にウェブ上で回答を求めた。回答者数は中2が5558人、高2が7407人。

 

 今回の結果を仮に全国の中2と高2の生徒数で単純計算すると、国内に計約10万人のヤングケアラーがいるとの推計も成り立つ。

 

 ヤングケアラーの生徒の内訳では、世話(ケア)をする対象の家族(複数回答)が、中2はきょうだい61・8%▽父母23・5%▽祖父母14・7%、高2はきょうだい44・3%▽父母29・6%▽祖父母22・5%。ケアの理由としては、きょうだいが「幼い」こと、父母は身体障害や精神疾患、祖父母は高齢や要介護状態などが多い。

 

 中2、高2ともにケアの頻度は「ほぼ毎日」が4割強を占め、週3~5日、週1~2日が各1割台。平日1日あたりのケア時間は平均約4時間で、「7時間以上」と答えた生徒も約1割いた。また1割前後は協力者がおらず「自分のみ」でケアをしていた。ケアの内容は、食事や掃除・洗濯などの家事、保育園などの送迎、障害や精神疾患のある家族の感情面のサポート、外出の付き添い、見守り、入浴・トイレの介助など、多岐にわたった。

 

 ヤングケアラーの1~2割が「宿題や勉強の時間が取れない」「自分の時間がない」「精神的にきつい」と訴え、睡眠不足や進路を変更するなどの影響も出ていた。誰にも相談した経験がないのは中2で67%、高2は64%。「相談するほどの悩みではない」「相談しても状況が変わるとは思わない」という声が多い。生徒が負担の重さを自覚していなかったり、隠していたりする可能性も残る。調査の検討委員会座長を務めた森田久美子・立正大学教授は「他の子と違うと思われたくない、『かわいそう』などと見られたくない子もいる」と話す。

 

 調査対象の生徒数は推計値だが、回収率は全体の1割前後とみられ、低迷。政府はおおむね状況は把握できたとするが、深刻な負担を抱える子が調査に応じられなかった可能性も含め、さらなる実態把握と支援への姿勢が問われそうだ。

 一方、回答者の生徒が在籍する学校側にも調査し、回収率は7割強。公立中学の46・6%、全日制高校の49・8%が「ヤングケアラーが在学中」と答えた。【山田奈緒、田中裕之】

 

全国調査結果のポイント

 

・学校と生徒に対する初の全国調査

・中学2年の17人に1人、高校2年の24人に1人がヤングケアラー

・ケアの対象はきょうだいが最も多く、続いて父母や祖父母。頻度は「ほぼ毎日」が4割強、平日のケアは1日平均4時間

・ケアで「自分の時間がない」「宿題や勉強の時間がとれない」など窮状の訴えも

・誰かに相談した経験がないヤングケアラーは中2で約7割、高2も約6割

・学校側は中学、高校ともに約半数が「ヤングケアラーが在学している」と認識

 

ヤングケアラー

 

 慢性的な病気、障害、精神的な問題などを抱える祖父母、両親、きょうだいなど、身近な家族の介護・世話(ケア)をしている子ども。負担が過度になると、心身、学業や進路などに悪影響が出る恐れがあるとされる。日本に法令上の定義はないが、家族介護を支援している一般社団法人・日本ケアラー連盟は「大人が担うようなケアの責任を引き受け、家事や家族の世話、介護、感情面のサポートなどを行っている18歳未満の子ども」と位置づける。

 

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