2011年6月12日(日)11時0分配信 R25
近年、都市部でハクビシンの目撃情報が増えている。
「何それ?」という方も多いだろうが、ハクビシンとはネコ目ジャコウ
ネコ科の動物で、東南アジアから中国南部にかけて広く分布。
風貌はタヌキに似ており、日本でも昭和20年に初めて生息が確認。
今ではほぼ全国で目撃されている。ただし、在来種か外来種か
すらわかっておらず、その生態を含め、いまだにナゾ多き動物だ。
自身が運営するウェブサイト「東京タヌキ探検隊」で目撃情報を
集めている動物ジャーナリスト、宮本拓海さんに話を聞いた。
「もともとは、東京23区内のタヌキの目撃情報を集めていたんです
が、5年ほど前からハクビシンとおぼしき情報も混じり始めたんです。
昨年には、タヌキ137件、ハクビシン159件と、目撃情報の数が
ついに逆転しました」
寄せられた情報の中には、目撃場所が樹木や電線という事例が。
タヌキが高所に登れないのに対し、ハクビシンは木登りが大の
得意なため、そう確信したという。
「電柱が林立し、民家の屋根づたいに移動できる都市部の風景は、
ハクビシンにとっての“ふるさと”東南アジアの森林にも似ており、
意外と住みやすいのかもしれません。主食は果実や昆虫類など。
派手なハンティングをしないうえに完全な夜行性で、昼間は民家の
天井裏やお寺、公園などのすみかに潜んでいます。だから、
なかなか人目に付かないんでしょうね」
とはいえ、一部で住居侵入や農作物への被害も報告されており、
多くの自治体で駆除対象動物になっている。しかし、調べてみると
農作物の被害額は約3億円(平成21年度・農水省調べ)。同年の
シカ71億円、イノシシ56億円、カラス23億円などに比べれば、
まあかわいいもんだと言えなくもない?
彼らの生態をよく知って適切な被害防止策を講じることで、人間と
仲良く共存できる日が来ることを切に願います…。
(石原たきび)
(R25編集部)
