立教新座中学・高等学校校長 渡辺憲司
≪卒業式を中止した立教新座高校3年生諸君へ。≫
「大学に行くとは、『海を見る自由』を得るためなのではないか。
悲惨な現実を前にしても云おう。
波の音は、さざ波のような調べでないかもしれない。
荒れ狂う鉛色の波の音かもしれない。
いかなる困難に出会おうとも、自己を直視すること以外に道はない。
いかに悲しみの涙の淵に沈もうとも、それを直視することの他に我々
にすべはない。
海を見つめ。大海に出よ。嵐にたけり狂っていても海に出よ。
真っ正直に生きよ。貧しさを恐れるな。船出の時が来たのだ。
思い出に沈殿するな。未来に向かえ。別れのカウントダウンが
始まった。
忘れようとしても忘れえぬであろう大震災の時のこの卒業の時を
忘れるな。
鎮魂の黒き喪章を胸に、今は真っ白の帆を上げる時なのだ。
愛される存在から愛する存在に変われ。愛に受け身はない。
教職員一同とともに、諸君等のために真理への船出に高らかに
銅鑼を鳴らそう」 (抜粋して引用)
◎日常に埋没しているワタシには、『海を見る自由』は皆無。
時には立ち止り梅花春雨などを愛でる余裕を持ちたいと思う。
