第57回日本卵子学会で発表しました | 医療法人オーク会 不妊ブログ|体外受精、卵子凍結など生殖補助医療を専門に診療しています

第57回日本卵子学会で発表しました

培養士の佐治です。

先日、新潟で開催されました第57回日本卵子学会で、以前より
取り組んでいる研究について発表してきました。

研究内容は“血清および卵胞液中のFGF23及びαKlotho値が卵子に
及ぼす影響”について。

もしかしたら患者様の中にも最近、妊娠とビタミンDの関係について
どこかで聞かれたことがあるかもしれません。近年、生殖補助医療の
分野でビタミンDが重要な役割を果たしているとして注目を集めています。

今回当院が注目したFGF23及びαKlothoは血中のビタミンDを調節する
因子として知られています。ビタミンDと妊娠との関係については
いくつかの論文(Int J Fertil Steril, Vol 7, No 1, pp: 1-8, 2015)で
発表されていますが、ビタミンD調節因子であるFGF23及びαKlothoが
どのように関与しているかは調べられていません。そこで当院はこれらの
因子と卵子の成熟や受精、その後の胚発育との関連について検討を行いました。

その結果、これらの因子が卵子の成熟や受精能に関与している可能性が示唆
されました。会場ではビタミンDとこれらの因子との相関について興味深い
との意見をいただきました。その作用機序については更なる検討が必要ですが、
当院もビタミンDを介した作用の可能性があるのではないかと考えています。

今回の学会では“卵子研究から人類の福祉を考える“というテーマのもと、
色々な研究が発表されていました。施設を問わず、皆がより良い医療の提供を
めざして日々取り組んでおり、学会はその情報を交換する重要な場となって
います。当院ではこれからも、より良い医療の提供を目指した研究に取り組んで
いこうと思います。