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2017-10-19 11:57:43

第20回日本IVF学会に参加しました

テーマ:検査部
こんにちは。培養士の石川です。

先日、宮城県仙台市で開催された、第20回日本IVF学会に
参加してきました。同日、仙台では東北復興マラソンが行われ、
東北・宮城のグルメも食べられるとのことだったので大変
にぎわっていました。

学会では多くの講演がありましたが、「未成熟卵子由来の
顕微授精-凍結胚移植-妊娠流産率と成熟卵子由来の顕微授精-
凍結胚移植-妊娠流産率の比較」についての調査に興味を持った
ので紹介します。

通常成熟した卵子(MⅡ卵)は卵子と透明帯の間に極体という小さな
細胞が存在します。極体が認められない未成熟卵にはGV期、MⅠ期と
2段階あり、GV卵は卵子の中に大きな核が見える状態です。MⅠ期は
GV期のような核は卵子内には確認できず、極体も放出されていない
状態で成熟卵(MⅡ期)の手前の状態です。

通常未成熟な卵に顕微授精しても受精しません。というのもMⅡ期の
極体は細胞分裂の際に、余剰な染色体が細胞外に放出されたものです。
そのため未成熟の卵は余分な染色体が含まれているので染色体の数が
多いため正常受精しません。

採卵時、発育が不十分な卵胞も穿刺するため、獲得卵子の5~10%で
GV期卵が得られます。この発表では採卵時に成熟度がはっきり判定
できたGV期、MⅡ期に対して受精率、凍結率、妊娠率を比較検討して
いました。

結果、GV期で成熟率は70.1%、正常受精率は73.1%、良好胚凍結率
22.5%であったのに対して、採卵時MⅡ期の正常受精率79.4%、
良好胚凍結率57.1%でした。正常受精率及び良好胚凍結率はともに
IVM-ICSIはMⅡ由来のものより受精率、凍結率は低下しますが、GV期は
本来受精しないので受精率も凍結率も本来よりも上がっています。

また、凍結胚移植ではGV卵子由来胚盤胞移植の着床率は68.7%、
臨床妊娠率胎嚢が確認できた妊娠50%、流産率8.3%であった。それに
対しMⅡ期由来胚盤胞移植は着床率62.7%、臨床妊娠率(胎嚢が確認できた
妊娠)59.8%、流産率17.2%で妊娠率及び流産率に有意な差は見られない
とのことでした。

つまり、GV卵子由来の体外成熟培養-顕微授精は成熟卵子由来の顕微授精
よりは受精、凍結率は低下するが、凍結胚移植に関しては成熟卵子由来と
妊娠、流産率は変わらないとのことです。当院では採卵時GV期だけでは
なく、顕微授精をする直前のMⅠ期、GV期ともにレスキューIVMを行う
ことができるので、少しでも多くの妊娠の可能性がある卵を凍結し、患者様の
ご妊娠、ご出産の近道になればと思います。











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2017-10-18 10:32:43

不妊初診ヘルプデスクを開設しました

テーマ:コーディネーター
オーク会コーディネーターです。

街の景色もすっかり秋らしくなってまいりました。
みなさまいかがお過ごしでしょうか。

自然の移ろいを感じるこの季節、ふと何気ないことに
気付いたり秋の涼しい風に何かを感じることがあると思います。
冬支度の前に、慌しい毎日からそっと離れてリフレッシュしてみませんか。

今ではいつでも手に入る食材も、やはり旬のものは栄養価も高く
身体に良いとされています。秋の美味しい食材からたっぷり
エネルギーをチャージしたり、紅葉やスポーツなど自然のパワーに
触れることで、身体も気持ちも充実できると思います。

悩んでいた検査や治療を前向きに考えてみたり、また色々検査等を
積み重ねてこられた方はそれらが実りますように。
治療の効果もより期待できるので、ぜひ秋を満喫してくださいね。

当院では、メールでの初診のお問い合わせ専用のヘルプデスクを
始めました。胚培養士による相談は大変好評をいただいており、
セカンドオピニオンをはじめ全くの治療未経験の方からのお問い合わせも
たくさんいただいています。

不妊初診ヘルプデスクのご案内
http://www.oakclinic-group.com/funin/

治療の流れは?料金はどのくらい?ERA検査や着床不全検査の費用や
スケジュールは?受診前の面談もコーディネーターがお受けしております。
気になる事を聞いてから安心して治療を進めていただけます。

受診で来院後もコーディネーターが引き続き外来でのサポートをさせて
いただき、治療中はもちろん来院前からのトータルサポートが可能です。
検査や料金、スケジュールの説明など、お一人お一人に合わせてきめ細やかな
対応ができることで安心して治療に向き合っていただけます。

ネットでも溢れるほどの色々な情報が入手できますが、私たちは情報を
正しくお伝えし、患者さまがベストな治療を選択できるよう日々努めています。

悩んでおられる方、ぜひ一度ご相談ください。治療の新たな一歩を踏み出す
気持ちに寄り添い、一緒にサポートさせていただきます。

毎月、セミナーも開催しております。

体外受精セミナー 参加無料 要予約
来月は、11月11日(土)15:00~17:00

ご予約、お問い合わせお待ちしております。
オーク住吉産婦人科 06-4398-1000











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2017-10-17 08:53:24

卵子凍結数と子供を授かる確率

テーマ:苅田正子
医師の苅田です。

卵子凍結をするにあたって、どれぐらい貯めればいいのか?
という疑問があると思います。
そのことに関して今までにもいくつかデータがありましたが、
アメリカのデータが出ていたので紹介したいと思います。
(Human Reproduction,vol.32,No.4p853-859,2017)

2011年から2015年にかけて520周期を検討したものです。
卵巣機能が問題ない方、不妊原因が卵管因子や男性因子の方に
限定し顕微授精を行い、染色体異常のない受精卵の個数から推定
した結果です。年齢に応じて採卵した卵子数と1人の子供を授かる
確率を出しています。表にまとめてみました。








また、2人子供を授かるには、卵子20個だと34歳では66%、
37歳39%、42歳7%の確率となっていました。

この結果から、貯める個数と貯められる現実的な個数(年齢に応じて)
の両方を考えてみると、個人差はありますが、37歳ぐらいまでには
卵子凍結していただけければ可能性が高くなると思われます。

あくまでも卵巣機能には個人差がありますので、一つの目安として、
ご参考にしていただければと思います。













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2017-10-09 13:31:17

トリガー投与から採卵までの時間と、成熟卵が取れる確率

テーマ:苅田正子
医師の苅田です。

体外受精において、未熟卵がとれることはよくあります。
その場合、体外培養していくこともありますが、受精および
分割がすすむことが難しい場合が多いです。できれば、成熟卵が
取れるようにしていくことがよいと考えています。いろいろな
工夫がありますが、その一つにトリガー投与から採卵までの時間を
延長することで成熟卵がとれるようになると言われています。
その論文を紹介したいと思います。

2014年にFertility and Sterilityで発表された後向き研究です。
(2014;102;419-23)刺激方法はロング法、ショート法、
アンタゴニスト法です。トリガーはHCGですが、OHSS
(卵巣過剰刺激症候群)の可能性のある人はGnRHアゴニストを
使用しています。トリガーから採卵までの時間で4グループにわけて
検討しています。グループ1(33.45h~34.44h)、
グループ2(34.45h~35.44h)、グループ3(35.45h~36.44h)、
グループ4(36.45hから38.25h)という時間で分けて検討しています。

患者背景や刺激方法での4群での差はありませんでした。採卵1回につき
成熟卵が取れた個数ですが、グループ1とグループ4間で、有意に
グループ4が多い結果となっていました。また、成熟卵が取れる確率ですが、
グループ1とグループ2間で有意にグループ2が高い結果でした。さらに、
成熟卵が1回の採卵で70%以上取れる確率もグループ1とグループ2間で
グループ2が有意に高い結果になっていました。

もう一つは2015年の同じ雑誌のコホート研究です。(2015;103;72-5)
38歳未満で少なくとも3個は採卵でき、3回以上採卵をしている患者を
対象としました。トリガーから採卵までの時間を①34~36時間と
②36~38時間でわけて検討しています。また、排卵抑制を
GnRHアゴニスト使用かGnRHアンタゴニスト使用でも比較検討もしています。
患者背景、採卵回数、刺激法、採卵個数に2群間で有意な差はありません
でした。アゴニスト使用での受精率と妊娠率は②のほうが有意に高く、
全体としての妊娠率も②が有意に高い結果となっていました。成熟卵の割合
については有意差はありませんでした。また有意差はありませんが、良好胚や
凍結胚の個数も②の方が多い傾向になっていました。

(まとめ)
2つの論文から、トリガーから採卵までの時間がはやいと成熟卵が取れる
確率が減る(できれば35時間以上)、GnRHアゴニスト使用例ではトリガー
から採卵までの時間が36時間以上の方がよりいいかもしれないという事です。
GnRHアゴニストは下垂体機能の抑制がかかりすぎることにより、卵が成熟
するまでに時間がかかることが考えられます。

未熟卵が多い方(特にGnRHアゴニスト使用)、採卵を3回以上していても
妊娠にいたらない方は受精率を上げる結果もでていることから、採卵から
トリガーまでの時間を延ばしてみることもよい結果につながるかもしれません。





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2017-09-21 15:31:31

妊孕能の改善と、症状のない子宮筋腫の摘出について

テーマ:苅田正子
医師の苅田です。

妊孕能の改善や流産を減らすために、症状のない子宮筋腫を
摘出することに意味はあるのかについてガイドラインが出て
いましたので紹介します。
(Fertility and Sterility Vol.108,No3,Sep 2017 p416-425)

(内容)
多くの論文をまとめたものです。
① 子宮筋腫は不妊治療の有無にかかわらず、妊娠する可能性を
   減少させるとは言い切れない。
② 筋腫の大きさ、数、場所(子宮内腔に変形をきたすような
   粘膜下筋腫や筋層内筋腫を除いて)によって妊娠しにくかったり、
   初期流産のリスクが上昇するとは言い切れない。
③ 漿膜下筋腫を摘出することが妊孕能を改善させるとは言い切れない。
④ 子宮筋腫手術によって、体外受精の結果(妊娠率、生産率)が
   悪くはなることはない。
⑤ 子宮筋腫手術(腹腔鏡か開腹)によって流産率(12週から28週)
   を減らすとは言い切れない。
⑥ 粘膜下筋腫のための子宮鏡下手術は妊娠率を改善させる可能性がある。
⑦ 子宮鏡下手術によって、不妊で粘膜下筋腫のある患者の初期流産を
   減らすことになるとは言い切れない。

(解説)
子宮筋腫には、子宮の中で発生する場所によって、粘膜下筋腫、筋層内筋腫、
漿膜下筋腫、頸部筋腫があります。妊娠することに対しては、子宮内腔に
ゆがみをもたらすかそうでないかによっても分けることができます。子宮内腔に
ゆがみをもたらす筋腫は粘膜下筋腫、筋層内筋腫の一部、もたらさないものは
筋層内筋腫の一部、漿膜下筋腫、頸部筋腫(大きさにもよる)となります。

内腔にゆがみがあるものになると、不正出血や月経過多などで自覚症状が出て
くることが多いです。また、内腔の拡大や変形、子宮の血流障害、異常な
子宮収縮や蠕動運動による精子や胚の輸送障害などがあり、不妊や不育症になる
ことがあると考えられています。

症状のあるものに関しては手術をすぐに選択することが考えられますが、今回の
論文のように症状のない子宮筋腫に対して推奨されることは

①体外受精では、胚の成長も良く、その他はっきりした原因が見つからず筋腫を
認めるなら、筋腫の手術をすると妊娠にいたる可能性がある

②粘膜下筋腫に対しては、子宮鏡下手術で妊娠率の改善が認められる可能性がある、
ということです。

当院でもなかなか妊娠に至らず筋腫が認められる方には筋腫の手術を提案しています。
特に5cm以上の筋腫がある方には妊娠することだけではなく、安全に妊娠期間を過ご
していただくためにも、手術することを勧めています。


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2017-09-13 14:37:08

今日の卵 vol.2

テーマ:検査部
こんにちは、培養士の高野です。

前回の今日の卵で卵丘卵子複合体(COC)のご紹介をしましたが、
今回はCOCの卵丘細胞を剥がした(裸化)卵をご紹介します。
裸化を行うと卵子の成熟が確認できます。

成熟卵はMⅡ卵と呼ばれる状態で、卵子と透明帯の間に極体という
小さな細胞が出ています。この極体の有無で成熟の判断を行ないます。

MⅡ卵










極体が出ていない未成熟卵には2段階あり、GV卵、MⅠ卵と分類します。
GV卵は卵子の中に大きな核が見える状態で、この卵核胞が崩壊すると
次の段階に進みます。

GV卵










MⅠ卵はGV卵のような核は卵子内には確認できず、極体も放出されて
いない状態です。MⅡ卵になる手前の状態になります。

MⅠ卵










このように3段階に分けて成熟の有無を確認したうえで、顕微授精や
卵子凍結を行っていきます。


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2017-09-12 10:17:55

妻だけEDや膣内射精障害

テーマ:田口早桐
医師の田口早桐です。

最近特に増えている相談として、夫婦生活がうまくいかない、
という内容があります。不妊治療にあたって第一段階の治療は、
当然のことながらタイミング療法、つまり排卵日前後に性交渉を
持つ、というものですが、これがうまくいかない場合が多くある
のです。

いろんなケースがありますが、膣の中での射精ができないという
膣内射精障害や勃起障害が多いですね、特に毎日顔を合わせて
いるが故に身近になりすぎているからか、奥さんに対して勃起でき
ないというケースもあるようです。妻だけEDとも言われています。

泌尿器科に相談してみても、あまり真剣に取り合ってくれない場合も
多いみたいですし、奥さんの方は子供が欲しいのにご主人が協力して
くれない(協力したくても出来ないのですが)ので焦りから怒りに
変わってきてしまい、収拾がつかなくなることもあります。

このような場合、ご主人の治療を、といっても非常に時間がかかり
ますし、なかなかうまくいかないケースも多いので、まずは不妊治療を
優先させて、人工授精からの開始にします。人工授精はするのだけれど、
禁欲はとくに必要ないし、人工授精当日も性交渉の制限はありません。
プレッシャーがなくなれば、意外に性交渉もうまくいくものです。

しかし中には、稀ですが、マスターベーションでの採精すらも難しい方
がいます。いろいろな理由がありますが、これも治療が非常に難しい
のには変わりありません。その場合は、精巣からの精子を採取して体外受精
(顕微授精)をします。え~、そこまでして、と思われるかもしれませんが、
このような例もあるのです。

(射精や性交渉などが)出来ない人にとって、出来ないものは出来ない
のであって、また結構そういう人も多くいるのが現状です。メンタルじゃないか
とか、トラウマじゃないかとか、言うのは簡単ですが、さまざまな要因が絡んで
いるし、誰でもそうなる可能性があるし、何が正常ともいえないと思います。

そんな中で、不妊治療を行う立場からは、まずは責め合う事はせずに、現状を
踏まえた上で子供を得るための技術を使いましょう、ということになります。
生殖補助技術を利用するにせよ、ご夫婦が協力しあって作業することには、
変わりないのですから。


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2017-09-06 11:21:03

新鮮胚移殖と融解胚移殖の妊娠率

テーマ:苅田正子
医師の苅田です。

採卵後、移植方法で新鮮胚移殖か全胚凍結して次周期以降で
融解胚移殖するか、2通りあります。今回紹介する論文は
どちらが妊娠率がよかったかを年齢とP値をふまえて比較検討
しています。
(Fertility and Sterility Vol 108,No2,Aug 2017,p254-261)

〈内容〉
新鮮胚移植をおこなった周期(①)と全胚凍結後に融解胚移植(②)
で着床率と妊娠継続率を比較検討しました。合計2910周期
(新鮮1455周期 vs 凍結1455周期)。患者背景は同じでした
(年齢、ホルモン、採卵数、子宮内膜厚、移植胚数など)。

全体では②のほうが有意に高い結果でした。また、妊娠継続率に
関して、トリガー(HCGもしくはGnRHアゴニスト)投与時のP値
(プロゲステロン値)と年齢(35歳以下と36歳以上)で検討して
います。P値が1以下の時は、年齢に関係なく有意差はありません
でしたが、P値が1よりも大きい時は、どちらの年齢群も②の方が
有意に高い結果になっていました。また、②ではP値に関係なく
35歳以下(約54%)、36歳以上(約48%)で妊娠継続率はほぼ
同じでした。P値と年齢別の①と②のオッズ比をみてみると、同じ
P値でも年齢が高くなるにしたがって②での妊娠率が高いことが
わかりました。

〈解説〉
以前から凍結融解胚移殖のほうが着床率、妊娠率で有意に高いことは
言われています。また、妊娠時の合併症(早産、低体重児、前置胎盤、
胎盤早期剥離など)が低いことも言われています。今回の結果も同じ
なのですが、年齢とP値で検討した論文は初めてです。P値が高い場合、
凍結融解胚移殖の方が継続妊娠率が高い結果となっていました。

これは、新鮮胚移殖では刺激周期による早期黄体化が問題になって
着床が阻害されると言われていますが、凍結融解胚移殖の場合は
早期黄体化がみられても、あまり問題になることはないという事です。
この理由として、刺激周期下での胚移殖では、高いエストロゲンレベル
より子宮内の血管新生が阻害され、着床に問題になってくるからではと
書かれてありました。

当院でも10個以上の可視卵胞(8mm以上)、採卵数が10個をこえる
ことがあれば、全胚凍結にしています。また、融解胚移殖時にはP4採血し、
高い値であれば、一旦キャンセルをしています。ベストのP値に関して、
1以下がいいのではと考えていました。今回の結果から、1以上であっても
(今論文では平均が1.5でした)融解胚移殖に関しては妊娠率が変わらない
結果となっていたので多少高くても問題ないこと、そして特に高齢の方に
とっては凍結融解胚移殖がよりよいということです。


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2017-08-28 11:53:35

抗セントロメア抗体陽性の方への免疫グログリン投与

テーマ:苅田正子
医師の苅田です。

近年、一部の難治性不妊症例の中に抗核抗体
(自己免疫疾患で出現)の一つで限局性皮膚硬化症
(CREST症候群)に特異的な抗セントロメア抗体陽性の方が
おられます。成熟卵の割合が低く、受精後に多核が認められ、
分割率の低いことが言われています。

最近の論文をまとめると、成熟卵率は66-71%(抗体ない方では
86-92%)、正常受精率47-71%(抗体ない方では76-80%)
分割率67-74%(抗体ない方では91-94%)となっていました。
これらの方に対し、プレドニン(ステロイド剤)投与にて改善が
得られる方がいます。

しかし、十分な改善が得られない方もおられます。
そのような方に対し、免疫グロブリン製剤(免疫力を高める薬)投与に
よって改善がみとめられることがあると言われています。ただ、効果に
ついてははっきりと認められたわけではなく、思ったような効果が得られ
ない場合もあるようです。しかし、効果がある方がいらっしゃるということは、
今後治療法の一つとして確立されていく可能性がある治療ではないかと
考えています。

免疫グロブリン投与に関しては、体外受精において反復不成功や原因不明
不育症の患者への投与で有意に改善が認められたという報告があります。
また、同じような自己免疫性疾患(自己抗体を持っている)の患者に対しても
効果が得られたという報告もあります。

そのことをもとに当院で免疫グログリン投与をおこなっています。
ご相談をご希望の方は是非一度御来院ください。


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2017-08-19 17:16:11

卵管の通過性の評価について

テーマ:田口早桐
医師の田口早桐です。

不妊の原因のひとつとして卵管の疎通性の障害があると
言われています。なかなか妊娠しないという場合、精子の
所見と並んで皆さんが真っ先に気にされるのが、「卵管が
詰まっていないかどうか」ということです。卵管は、精子と
卵子が出会い、受精をし、受精卵が子宮に到達するのを助ける、
妊娠にはなくてはならない器官です。もちろんそこが詰まって
いたら、妊娠できません。

そこで、卵管の疎通性を調べるために、造影剤などを子宮側
から流してレントゲンや超音波で観察するわけですが、これが
一般に考えられているほどには確実な検査ではありません。

まず、閉塞していると診断された場合でも、30%程度に偽陽性
(本当は通っているのに通っていないと診断される)があること
が知られています。それから、通っていると診断された場合でも、
あくまで「子宮側からかなりの圧をかけた状態で」通っている
のであり、普段の圧のかかっていない状態ではどうなっているか
分かりません。腹腔鏡でお腹の中をのぞきながら、実際に卵管采
(卵管の子宮と反対側の端っこ)から色素が流れてくるかどうか
を見るのが一番確実といえますが、その場合でも、圧をかけて
行っています。

また、通っていたとしても、卵管が機能しているかどうかは最後まで
わかりません。管として閉塞はしていなかったとしても、中にびっしり
生えていて受精した卵を着床の場である子宮に移動させる役割を持つ、
繊毛の働きが悪かったりすると、妊娠できません。

ですので、不妊検査の一環として卵管の検査を行いますが、結果が
「通っていたから大丈夫」なのでもなければ「通っていなかったから
駄目」でもないのです。そこをまずはご理解いただきたいと思います。

妊娠のみをターゲットにする場合は、卵管の検査をせずとも、
タイミングなり人工授精なりを数周期試してみてから、もしくは初め
から体外受精をすればいいのです。いろいろと詮索して悩むよりも、
一番の近道と言えるでしょう。というのは、上で申し上げたように、
卵管が通っていますという診断であったとしても、卵管の機能が完全
であるということは言えないからです。タイミングなり人工授精なり、
「卵管を介さなければ妊娠が可能にならない」方法で妊娠が成立しな
かった、という事実こそが「卵管を介さなくても良い方法」に切り
替えるための充分な理由になりえるのです。

では、なぜ、卵管の検査をするのか、と疑問に感じられるかもしれ
ません。それは、もし卵管が起始部で閉塞している場合、場合により
子宮内部からの操作で卵管の疎通性を回復できるかもしれないケース
がまれにあるということと、卵管水腫(卵管の腫れ)など着床を妨げて
しまう状態がないかどうかを調べる目的があるからです。ただし、
卵管水腫に関しては、通常の超音波検査を、卵胞計測目的で何度も
行う際に分かることがほとんどですので、卵管造影でないと分から
ないということはありません。

長々と書きましたが、卵管の検査に関しては、上記のように、あくまで
参考としての検査であり結果が絶対ではないことと、超音波等他の所見と
組み合わせてこそ意味があるということ、また、妊娠というゴールを
考えた場合には、必ずしも行わなければならない検査ではないということ
をご了解いただきたく思います。


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