きっと又なんだかんだと断られるのだろうな…と重い気持ちで「タッズ母」 に話しました。
黙って聞いてくれた彼女は
「犬が咬むのは当たり前です。ましてや雪の中で何日も何日も飢えて…可哀想に」 と
涙声で受け止めて下さいました。
「うちの理事長に話します。ピットブルを扱っていて、咬まれるのは仕事みたいな人だから大丈夫、お返事
させます」 とキッパリとした声で受け止めて下さいました。
電話を切り、何か気が抜けたようにふーっと息を吐いたのを覚えています。
程なく理事長さんから電話が入り、
「そんな咬む奴でもあんたは命救いたいと言うんやな」 と聞かれました。
「山の忠実な番犬達が繋がれたまま、穴熊や狐に喉笛を食いちぎられ、腑を引きずり出されて喰われる
無残な死を迎える前に助けて下さい」 と心底から 頼みました。
私達の集落で無残な死を繋がれたまま迎えた犬の話が忘れられなかったからです。
受話器の向こう側はし~んとした時間が流れ、諦めかけた時
「わかった、俺が助けてやる。あんた責任持てるんだな?」 との声…
「勿論です!飼い主の了解無しに保護をお願いする以上、責任は私に有ります。
逃げも隠れも致しません。
この依頼でUKCジャパンさんに決してご迷惑はかけません」
今からこうやって思い出してゆくと、随分とテンパっていたなぁ~大した力もないくせに…と恥ずかしい
思いがします。
しかし自分の言葉に嘘はありませんでした。
「わかった!待っててや。無理したらアカンで!」
優しい言葉に涙がうっすらと滲んできました。