恐竜の絶滅
恐竜の絶滅
* 天体衝突説
「白亜紀末にあたる約6550万年前の恐竜の絶滅の原因はやはり小惑星の
衝突だった―。」「国際チームがそう結論づけた。」と
10年3月5日朝日新聞が一面で記事を載せた。
天体衝突説は’80年に物理学者のルイス・アルバレスらが提唱したもの。
「直径10~15kmの小惑星が白亜紀末に地球に衝突し広島型原爆の10億
倍にも達するエネルギーが放出され、マグニチュード11以上の地震、高さ
300mの津波、数千億トンの硫酸塩やすすが巻き上げられ大気を覆い太陽
光を遮り、酸性雨や寒冷化、植物の光合成が長期間停止するなどのため
恐竜を初め生物の6割が絶滅したと見られる」という説である。
* 白亜紀の絶滅と核の冬
いわゆる白亜紀の絶滅。海洋プランクトン(単細胞の浮遊生物)の
ほとんどすべてが地質学的に言えば突然死に絶え、海産無脊椎動物の
ほぼ15%の科が滅びた。
(科が消滅するということはその中の種すべてが滅びたことを意味する。
その中にはアンモナイトをはじめそれまで優勢であった多くの動物群が
含まれる。)
陸上では1億年以上にもわたる挑戦者なき支配が終わり恐竜たちが
姿を消した。
この説から核戦争がどんな災厄をもたらすかが具体的に明らかにされ
たと言っていい。いわゆる”核の冬”が言われ始めた。
* イリジウム
白亜紀と第三紀の境界にあたる地層に高レベルのイリジウムが検出さ
れたことが最初の確実な証拠を提供した。
(イリジウムは希少金属で地球外天体のもたらしたものとされている。)
今ではユカタン半島から遠くなるほどその地層が薄くなっていることも
確認されている。
そして’91年にはメキシコのユカタン半島で衝突跡と見られる
「チチュルブ・クレーター」(推定直径180km以上)が確認されている。
* 大量絶滅
地球上に生命が誕生してから40億年近く。
生命の歴史は5回の大量絶滅という短い挿話によって区切られている。
地質年代はそのような絶滅が起こった時期と一致している。
白亜紀の絶滅をしのぐ最大の絶滅といわれている2億5000万年前の
ペルム紀(二畳紀)の絶滅はこれまでいわゆるパンゲア大陸の形成が
始まったことによると言われていた。
しかしこれも巨大な小惑星の衝突によるものではないかと言う説と
ともに、南極大陸にこの時期の巨大なクレーターが発見されたという話
があるそうだ。(これは分からない。)
* 生命の歴史の不可逆性ー偶然の積み重ね
ペルム紀の絶滅の原因はともかく白亜紀の絶滅で1億年以上地上の
世界を支配していた恐竜が絶滅しなかったならば哺乳類は今だ小さな
取るに足らない生き物のままだったであろうし、私達人間もここにいな
かったし意識を持つ知的生命が誕生することもなかったといえる。
地球外天体の衝突というほとんど予測不可能な事態によってこれまで
の生態系が覆され、哺乳類の繁栄がもたらされた。
そして意識を持つ知的生命体が生まれたといえるなら生命の歴史ほど
偶然が折り重なったものはない。
私達は知的生命体の誕生に向って漸進的で連続的な変化によって確実
に生命は進歩してきたと考えがちであるがそうとはとても言えないので
ある。
ほとんど不可能なことの積み重ねによって人は生まれてきたのであり
同じことを二度繰り返すことはありえないといえるようだ。