現人類の3600年前の共通祖先 | 鬼川の日誌

現人類の3600年前の共通祖先

​​​​​​   僅か3400〜600年前に現人類の共通祖先がいた!

 

 

  「あなたは二人の両親、四人の祖父母、八人の曾祖父母、等々を

 もっている。一世代戻るごとに、祖先の数は倍になる。、、

 

  「もし一人の個人が完全に非近交の(血縁のある人間とは絶対に結婚

 しない)家系図を持つとすれば、36世代前から今に至るまでに1374

 億人を越す個人がいたことになる。(2の37乗)。

  (36世代前、ヨーロッパ中世という近さだ。)

 

  これはこれまで生きてきた人間の数より遥かに多い。これが意味する

 のは、数世代さかのぼれば、家系図は、、樹木のような形でなくなり、

 網の目状になっていくということである。あなたは同じ個人から何重に

 も由来することがありえ、実際にそうなっている。、、、時間をさらに

 さかのぼっていけばいくほど、そうした系譜の線は、より少数の個人に

 合着するようになる。」

 

  * 数学モデル 

  ジョセフ・チャンという統計学者は、、「ヨーロッパ人はどの時代まで

 さかのぼれば共通祖先を持っているかを問い」数学モデルを構築し

 「13世紀末(600年前)のどこかの時点で、すべてのヨーロッパ人が

 祖先として辿り着ける一人の男または女がいた」と計算した。

  (わずか600年前!)

  もちろんこの個人は「あなたと他のすべての人がもっている何千と

 いう祖先を辿る線の一本」に過ぎない。

 

  チャンの計算では1000年前に生きていた人間の20%は子孫を残し

 ていない。

  「逆に、残りの80%は、現在生きているすべてのヨーロッパ人の

  祖先である。祖先に至る系譜の線のすべては、10世紀のあるゆる個人

 に合体するのだ。」

 

  「10世紀のある時点で、あなたは計算上何十億人もの祖先をもたな

 ければならない、、、しかしその頃に何十億という人間はいなかった。

  そこで、当時実際にいた人間のなかにそれを押し込むのである。、、

 祖先に導く系譜の数十億の線はすべて、、、実質的にそのとき生きて

 いた、文字通りすべての人に合着する。

 

  ** 2013年遺伝学者たちは「DNAがチャンの数学的な祖先探しと

  全く同じ結論を導くことを示した。」

 

  * MRCA(Most Recent Common Ancestor)

  チャンは「現在地球上で生きているすべての人のもっとも新しい

  共通祖先がいたのはわずか3400~600年前あたりに過ぎないと結論

  した。」(これはちょっと驚くべき結論。)

 

  チャンは言う。「私たちの発見は、注目すべき考えを提案している。

 すなわち、言語や肌の色などに関係なく私たちは、揚子江の岸辺に稲

 を植え、初めてウクライナのステップ地帯でウマを家畜化し、南北

 アメリカの森でオオナマケモノを狩り、そしてクフ王の大ピラミッド

 を建造するために働いていた祖先を共有しているのだ。」

  (同じくここは理解が追いつかない。)

 

  * 1000年前でも

  「10世紀に生きていて、子孫を残した人間は誰でも、今日生きて

 いるすべてのヨーロッパ人の祖先であり、そこにはシャルルマーニュ

 (カール大帝)も彼の息子も含まれる。」とチャンは言う。

 

  (日本はヨーロッパより狭いから、10世紀前後ー平安後期ーに生き

  ていて子孫を残した日本列島人は誰でも、今の全ての日本人の祖先

  であると言えることになるのだろうか?

  **この点については平安期の人の移動を考慮すると、北海道や

   沖縄など、その他地理的に隔絶した地域が多く、ヨーロッパに

   言えることを即適用するには無理があるかも知れない。

   しかし、そう大きく時代は前後しないと思われる。

   

  * 孔子もチンギスカンも 

  「もしあなたが広い意味の東アジア人なら、、、あなたの家系図の何処

 かの頂点にチンギスカンが座っていることはほとんど確実、、」

  (チンギスカンは12〜13世紀の人だ。600年前のヨーロッパでいえる

  ことは東アジアレベルでもいえると言うことだ。チンギスカンは

  元々史上最大の子孫を残したと言われており、その膨大な子孫たち

  が結婚し裾野を広げて遺伝子をばら撒き、どこかで私たちとも繋

  がっていると言えるらしい。

   蒙古襲来だけでなく、日本史は中世ももちろんだが、それ以後も、

  中国大陸、朝鮮半島とのつながりの歴史なのだから。)

  

  「またあなたが地球上の人間であれば、ほぼ確実にネフェルティティ、、

 孔子、その他、太古の歴史から名前をあげることができる誰でも、

 その人物が子孫を残してさえいれば、あなたの家系図にいるはずだ。

 

  (ネフェルティティは紀元前14世紀頃、ツタンカーメンの義母。

  孔子は紀元前6、7世紀の人、つまりそれくらい以前の人で子孫を

 残した人ならば今の70億の人間とどこかで繋がっている。そして

 3600年前に遡ればMRCAがいたと言える。

  私もあなたも孔子やネフェルティティのそしてチンギスカンの子孫

 であり、そして列島人なら多分卑弥呼ー子はいない?ー以後の「倭王」

 たちのそしてその頃生きていた名もなき全ての人たち遠い遠い子孫

 であるとなるのかも。)

  

 * この結論は驚くべきことでなかなか賛同を得られそうもない。

  家系図が大好きな人たちは10世紀頃の藤原氏や天皇家とあるいは

  安土、桃山時代の著名人ともしかしたら繋がっているかも?と

  喜ぶのだろうか?結論はその人の家系だけでなく今生きている列島

  人全てが(あくまで無数の繋がりの網の目の中の一本がどこかで、

  に過ぎないが)繋がってる事になるわけだからがっかりするのかな?

 

  (『ゲノムが語る人類全史』アダム・ラザフォード

            第三章 「「近親相姦の中世史」から)

 

  * ホモ・サピエンス

         (現生人類はわずか1万人弱の集団の子孫だ。)

  私たちの種ホモ・サピエンスは17万年前頃もっとも厳しい氷期に総

 人口が1万にまで落ち込んで人類が絶滅しかけた後にアフリカで誕生し

 たと言われている。(ボトルネックがあったという説。)

 

  この集団は数千から1万人規模だったと推定されているわけだが、

 現生人類が受けついでいる遺伝子ほぼ全てはこの集団に由来する。

  この集団に太母ミトコンドリアイブ(現生人類のミトコンドリアDNA

 はこの太母に由来する)が生まれたわけだ。

  ( cf、『ミトコンドリアイブ』 )

 

  この集団の一部が8〜10万年前頃から「出アフリカ」を果たして全

 世界に拡散した。この頃まだ生きていたアジアのホモ・エレクトスや

 ヨーロッパのネアンデルタール人はおよそ3万年前頃までに絶滅した。

 

  *だから今生きている現生人類6、70億人の全てはこの1万人に満た

 ない集団の子孫である。現生人類はホモ・サピエンス一種であり、

 モンゴロイド、コーカソイド、ネグロイドは亜種である。

 

  (集約して祖先を考えるのは非常に難しいが、逆にこの集団が世界に

  拡散して現生人類を作ったわけだから彼らが現生人類全ての祖先だと

  認めることは割と易しい。)

 

  ** 

   太古の人骨からゲノムを取り出し解析できるように技術が進歩して、

  今はネアンデルタール人の遺伝子がヨーロッパ人の遺伝子の数%を

  占めていることがわかってきている。つまりネアンデルタール人も

  私たちの祖先であるということになる。またこれまでの種の定義も

  考え直さなくてはならなくなっている。

    ( cf  『ネアンデルタール人』 ) 

 

  ** 書き換え (チャンの推論の日本への適用)

  

  「10世紀に生きていて、子孫を残した人間は誰でも、今日生きて

 いるすべてのヨーロッパ人の祖先であり、、、」を日本はヨーロッパより

 地理的範囲が狭いから、より確実に同じことが適用できるかと考えた

 が、平安時代には地理的に北海道や沖縄その他まだ隔絶している所も

 多く、人の移動という面から遅れていたから、無理があるようだ。

  もう少し人の移動が活発となった、室町から戦国時代(安土、

 桃山時代)の方がそう言える可能性がある。

  しかしそう大きくは前後しないと思われる。

 

  この点があったので書き直しました。(再投稿)