身近な鳥の減少という危機 | 鬼川の日誌

身近な鳥の減少という危機

​​​​​     鳥類調査(ツバメやスズメの減少)

 

 

 

  11月29日に鷹取山から大楠山の縦走で、大楠山山頂で大勢のハイ

 カーに混じって休憩している時、側にスズメが餌を啄んでおり見ると

 4羽いた。写真を撮るかと思っているうち人が通りかかりすぐに飛ん

 でいってしまった。

  そういえば4羽も一度に見かけることは最近余りないなと思った。

 

   

  鳥類繁殖分布調査会が2100人超のボランティアの参加を得て全国

 の鳥類調査を行ったそうだ。(21年)

  2016年〜21年、全国2344地点で、379種の鳥類を確認し、比較

 可能な1947地点について分析した。

 

  90年代の調査と比較すると、「ガビチョウなどの外来種の分布域が

 広がる一方で、ツバメやスズメといった身近な鳥の数が大きく減って

 いたことが」分かった。

  誰でも感覚的にツバメやスズメをあまり見かけなくなったと思って

 いるに違いないが、具体的にどのように減っているのかが今回の記事

 で明らかにされている。

  (時折、駅前の商店街で人通りが多いところの一角に燕の巣があり、

  子育ての様子が見られたりすることがある。これはカラスなどが

  近付かないので返って安全だかららしい。しかし沢山の巣がある

  事はない。)

 

  ガビチョウは90年代15地点だったものが今回211地点。

  ソウシチョウは同じく48地点から200地点と大幅に増加。

 両種とも特定外来生物に指定されている。

 

  一方個体数で

 スズメは90年代約31000羽確認されたものが今回約21000羽

 ツバメも約15000羽から約9000羽に大きく減っている。

 これは結構凄い減りようだ。

  (単純計算でツバメは都道府県を45とすると、各県200羽という驚き

  の数の少なさだ。調査地点数ではツバメは各地約4羽。スズメでも

  各地約10羽もいないことになる。

   しかし90年代でもこの倍もいなかったわけでさらに昔からすれば

  相当減った数なのだろう。)

 

  また絶滅危惧種のコアジサシが確認された場所は90年代の59地点

 から15地点になり、記録地点の減少率が最大。アマサギ、コサギ、

 ゴイサギなど小型のサギ類も記録地点数が減っている。

  

  「分布域や個体数が減っている種の原因解明と保護が急務」だと

 されているが、我々の身近で起きているここ2、30年くらいでの環境

 の劇的変化に結構ゾッとするものがある。

  見過ごしたままでいいものではなさそうだ。

 

  (21年10月26日 『東京新聞』)

 

  ガビチョウやソウシチョウと言われてピンとくる人は相当鳥類に

 興味を持っている人だろう。多分見たことはないだろうからnetなど

 で調べてもらうしかない。

 

 ** 「ネオニコ系農薬」

 

  環境悪化の一つの原因に「農薬」の問題がある。数年前ミツバチ

 の大量死や行方不明などで関連が疑われた「ネオニコチノイド」系

 の農薬はしかし今も大量に使用されている

  • ネオニコチノイド系農薬は高い殺虫効果と浸透性を持つため、使用された地域のハチ、蝶、水生昆虫など、広範囲の昆虫類を激減させる。

  • これにより、鳥類が雛に与えるための餌が不足し、繁殖の成功率低下や個体数の減少につながっている可能性がある。

  *ネオニコチノイド系農薬で種子処理された種子や、汚染された餌を鳥が直
  接摂取することで、神経毒性により衰弱したり、死亡したりするケースが指
  摘されている。
  特に渡り鳥においては、農薬を摂取することで体重や体脂肪が減少し、渡り
  きる能力が失われるといった影響も報告されている。
  (この部分Gemini )
 

  こうした農薬は「人体には影響がない」と「科学的に証明されて

 いる」と農薬メーカーは主張するのだが、直接的な影響が「実験」

 などで認められないというだけでこれが全く怪しいのだ。(エセ科学)

 

  この農薬が使われ出したのが92年で、93年頃から宍道湖からワカ

 サギやウナギが突然いなくなったその原因ではないかということが

 研究者の調査で明らかになってきた。

 

  要するに農薬の使用で「害虫」を含め、小さな生き物が田んぼや

 その水が流れ込む湖で生きていけなくなり、これを捕食する動物が

 いなくなる。ワカサギやウナギだけでなくツバメやスズメが生きて

 いけなくなる。

  食物連鎖が絶たれ生態系が壊れていく。これらは目に見えない

 変化でまさに世界を蝕んでいる。

 

  佐渡ではトキの自然での繁殖がなかなか上手くいかないのは、

 トキの餌となる田んぼの小動物がいないことだと突き止めこれを回復

 するために、ネオニコ系の農薬の使用をやめて小動物を増やして、

 トキの繁殖に成功している。

  

  またマウスにネオニコ系の農薬を微量(無害と言われる量)投与

 した実験で明らかな異常行動が認められたりしてきている。

  人体にも直接的に有害な可能性がある(近年増えてきている子供

 の発達障害に関係しているのではないかなど?)ことも徐々に証明

 されるだろう。

 

  (農薬メーカーはこうした科学的実験はやらないで、「安全性」の

  証明で「科学」の名の下に逆にお墨付きを与える。

  特に間接的な影響については見過ごされていくことを警鐘して

  いるのが福岡ハカセだ。

             私のブログ『利便と危険』参照。)

 

  *欧州連合(EU)では、ミツバチへの影響や生態系への懸念から、主要な

  ネオニコチノイド系農薬(クロチアニジン、イミダクロプリド、チアメトキ

  サムなど)の屋外での使用を原則禁止または大幅に制限している。

   

  しかし日本では、これらの農薬は依然として幅広い作物で使用可能であり、

  浸透性殺虫剤としての利便性や生産効率の観点から、農業分野で広く利用さ

  れている。(この部分もGemini )

 

  (そもそも世界的に見れば日本は禁止されている農薬が最も少ない

  最も緩い農薬基準を取る国になってしまっている。

                      Cf 『食の安全』)

 

  これは農業だけではなくあらゆる産業で、効率や生産性のアップを

 追求するためには、安全性を放棄するという構造を変えようとしない

 からである。

  目先の利便のために農薬メーカーは儲けのために。

 

  こうしたことが野鳥の驚くほどの減少の原因の一つであることは

 明らかだ。

 

  (次に食物連鎖について、「アカツメクサとネコ」。)