トランプ乱舞 | 鬼川の日誌

トランプ乱舞

  トランプ関税

 

 

  * 関税

  世界がトランプにより引っ掻き回されている。

 10日、トランプは米国が輸入するすべての鉄鋼とアルミニウムに対して

 25%の追加関税をかける布告に署名した。これは3月12日から始まる。

 現状では例外や除外措置はなく、日本製品も対象となる。

  日本政府は適用を除外してくれと早速泣きついている。情けない事に

 石破がトランプとの日米首脳会談で、トランプ関税に報復するのか

 問われ、「仮定の質問にはお答えできない」とか言ってるアホさ加減が

 モロに露出。

 

  トランプは米国が輸入する自動車と半導体チップ、医薬品にも関税を

 かけると示唆している。

 

  カナダとメキシコに対する25%の追加関税はディールにより約1ヶ月

 ほど延期されたが、中国に対しては10%の追加関税を課し(4日)、これ

 に対し中国は10日米国からの輸入品の一部に10、15%の追加関税で

 報復措置を発表した。

 

  トランプにとっては高関税を突きつけて譲歩を引き出すディールで

 あるが、報復合戦から世界経済の分断を深刻化させることになるのは

 不可避である。

 

  * 対外援助

  トランプは就任直後から地球温暖化防止のパリ協定からの離脱、

 世界保健機関(WHO)からの脱退の大統領令に署名し、米国際開発局

 (USAID)の一部の援助を除いて対外援助を凍結することにした。

  対外援助が「米ファースト」に合致するか精査するとして国際開発、

 協力を一旦全て停止させたのである。

  これはガザ住民への支援物資の提供が遅れたり停止されることに

 直結する。その他の難民や災害支援のためのNGOは即時活動停止に

 追い込まれている。

 

  トランプは9日には対外援助事業の大部分は「誤り」だとして、国際

 開発局の解体、統合を示唆し、対外援助事業の混乱が広がっている。

  これらは明らかに米国の国際的リーダーシップの喪失に直結する

 以外の何ものでもないが、トランプはそれを意に介さない。

  (「米帝国」の衰退。目加田教授、東京新聞、2、9)

 

  * ガザ

  アウシュビッツ解放80年(1月27日)の直後から、トランプは「ガザ

 は地獄だ」(地獄を作った責任の大半はアメリカにあるのに)として、

 ガザ住民の受け入れをヨルダンやエジプトに要請した。

  ここでも受け入れなければ関税を課すと脅している。

 

  2度と戻れなくなるというガザ住民や世界各国の総反発、1948年の

 イスラエル建国に伴い、約70万人が難民となったナクバ(大惨事)の

 再来を危惧する当然の声を意に介さず、トランプは「ガザを所有」して

 「美しい土地にする、不動産開発だ」などとふざけた発言を繰り返して

 いる。域外移住案は「一時的措置」と言ってみたり(ルビオ国務長官)

 したが、トランプは将来的にパレスチナ人がガザに「帰還することは

 ない」と断言している。約200万人のナクバは不可避となる。

 

  パレスチナ人をガザから追い出すことが1番の願望であるイスラエル

 ネタニヤフなどは盟友トランプのアイディアに力を得て、ガザに対する

 圧迫を一層強めるだろうし、停戦の行方が危ういものとなり始めている。