トランプ政権の始動 | 鬼川の日誌

トランプ政権の始動

  早くも混乱が始まる

 

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  1月19日から始まった「ガザ停戦」は続いているが、イスラエルは

 ヨルダン川西岸地区でハマス掃討の大規模な攻撃を激化させ始めた。

  ガザ停戦に反対し極右の一派がネタニヤフ連立政権から離脱し、

 もう一つの極右派が離脱すれば政権が崩壊しかねないとして、その

 引き留めのためと言われている。

  またトランプはバイデンが課していた「入植者への制裁」を解除し、

 西岸地区のイスラエル併合を主張する入植者、極右派を勢いづかせて

 いるから、これから西岸地区での紛争は激化せざるを得ない。

 

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  20日トランプが米大統領に就任した。あからさまなファシストトラ

 ンプが支配する米社会というかつてない最悪な事態が現実化した。

  既にEUなどでは極右勢力が各国で伸長しているのにさらに輪をかけ

 ること(イーロン・マスクはドイツの極右にエールを送っている)に

 なり世界が大きく右旋回する。

 

  トランプは矢継ぎ早の大統領令で、バイデン政権の政策をひっくり

 返し、領土的野心も剥き出しにし(グリーンランド、パナマ運河等)、

 高関税をちらつかせて各国を脅し、その後取引(ディール)に持ち込

 みアメリカ優位に持っていくという相変わらずの手法で突っ走り始め

 た。(「関税」とディール。これしかない。)

 

  トランプはロシアが停戦交渉に応じなければ「ロシアからの納入品

 に高関税をかけるしかない」とプーチンを脅し始めた。

  ウクライナ戦争を「大統領就任後、24時間以内に解決する」とかいう

 大ボラを「6ヶ月以内」に後退させたが、取引の見通しがつかないこと

 に焦り始めたようだ。しかしそもそも商取引が少ないのに高関税では

 あまり効き目がなさそうで、ラブロフにコケにされている。

 

  あたかもインフレに苦しむアメリカ庶民の味方であるかのように装っ

 て大統領選で勝利したわけだが、トランプ政権の本質はGAFAのCEO

 たちやイーロン・マスクなど、巨大企業やその経営者たちのために、

 その商売をやりやすいように様々な「規制」(民主党政権で進められた)

 の緩和を進めること、そして「逆差別だ」を合言葉に、これまで進め

 られてきた様々なマイノリティーや社会的弱者(「人種」、民族、性別、

 性的、その他)への優遇措置を撤廃し(特に移民の問題)、強者の論理

 (基本的にファシストの論理)で固めることにある。

 

  ジェンダーは男と女しかないとして、トランスジェンダーを否定する

 のはその象徴であって、全ての差別を形を変えて復活させることになる。

  しかもトランプ政権はそれを強権的に押し付けようとしている。

 

  インフレや移民の激増などに有効な手を打てなかったバイデン、民主

 党政権への反発からトランプを支持した、庶民、労働者、黒人たち、

 マイノリティーなどは、今後高関税による輸入品の値上がり、一層の

 インフレの亢進や、自分達を不利に落とし込める強者の論理に立つトラ

 ンプ政権の本質が露わになるにつれ、この幻想がいかにとんでもない

 食わせ者だったかに目覚めざるを得ないが、その幻想に溺れたツケで、

 自ら覚悟を持って反撃に出ない限り当分苦しめられるしかない。

 

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  鳥インフルの全国的拡大

 

  今月に入り鳥インフルが猛威をふるっている。とりわけ養鶏場が

 密集する、愛知、千葉、岩手の3県で続発している。

 

  20日時点、千葉でも鳥インフルが猛威を奮っている。県内陽性確認は

 今季8例目。(昨10月の香取市から) 殺処分対象は8例で計218万1千羽。

 (20年12月~21年3月の約458万羽に次ぐ規模)

  千葉県内の採卵鶏は昨2月で約1417万羽と全国最多だ。 

  22日のニュースでも岩手県盛岡市の養鶏場で鳥インフルが確認され

 県が対応に追われていることが伝えられていた。 

 

  24年度今月22日時点で14道県・42例が確認され、全体の殺処分対象

 数は約771万羽に上る。

  うち26例、殺処分対象約496万羽は今月以降のもので、過去最悪だった

 22年度を上回る勢いで「垂直上昇」。

 

  鶏卵価格(東京地区)は昨年1月の平均価格180円(Mサイズ)と比べ

 て23日には275円と100円近くも高騰している。

 

  それにしても鳥インフルに感染した養鶏場の鳥を全部殺処分せざるを

 得ない、それも数百万羽という巨大な規模で。これも私たちの食を巡る

 数ある矛盾の一つだな。