自民総裁選の茶番 | 鬼川の日誌

自民総裁選の茶番

  自民総裁選と袴田さんと

 

 

  ポケベル無差別テロでヒズボラに打撃を与えたイスラエルは、それ

 以後連日のようにヒズボラの拠点だとするレバノン南部の空爆を続け

 地上侵攻の構えを見せている。ガザ虐殺に続きやりたい放題。

  イスラエルはこの空爆でヒズボラの指導者ナスララを殺したと

 発表した。ヒズボラとイスラエルの全面衝突が差し迫っている。

  

  *

 

  27日、自民石破新総裁が誕生した。

  今回の自民の総裁選当初は、人気の小泉を新総裁に祭り上げ馬脚が

 露呈しないうちに一気に総選挙をやって裏金問題の「みそぎ」を済ま

 せたことにして居直るという路線が優勢と思われたが、小泉がこの

 選挙中早々にブレ始め、質問に珍回答を繰り返し中身が何もない事が

 暴露され失速、決選投票に残ることすらできず「セクシー内閣」で

 総選挙は夢の如く消えてしまった。

 

  裏金議員・安倍派と自民の岩盤頑迷保守派が担ぐ高市が一回目の

 投票で一位となり、自民党は中身は少しも変わるつもりもないことを

 満天下に示した。がその瞬間、このまま高市を担いだ場合「これまで

 と少しも変わらない自民というどうにも気持ち悪いお面」を看板に

 次の総選挙を戦わなければならなくなることが浮かび上がった。

 

  いくら本質は変わるはずも変わりようもないとはいえ流石にこれ

 では選挙で勝てないと二の足を踏む議員の多くが、世論調査などで

 より人気が高い石破支持に回ったようだ。

  石破総裁の誕生はただそれだけの茶番に過ぎない。それでもこの

 総裁選をマスコミの手を借りてともかく賑やかにやることが出来た

 ので、あたかも自民党が出直したかのような体裁を取るという当初の

 目的は達成されたとしているに違いない。

 

  またリベラル色を薄めて保守穏健派に擦り寄りあわよくば、と目論

 んだらしい立民はかつての「民主党政権」を潰した張本人野田を担ぎ

 出すなどどうしようもない最悪の手を打ち(小沢等)自ら破綻してい

 ることを鮮明にしてしまっている。

  これでは日本は二進も三進もいかない。

 

  *

  26日、袴田さんの再審無罪が静岡地裁でようやく言い渡された。

 そこで「捜査側が証拠三つを捏造」して袴田さんを死刑囚にでっち上げ

 たことが明確に認定された。

  裁判長があまりにも時間がかかったとお詫びしたが、もはや取り返し

 はつかない。

  袴田さんは既にすり潰され意思の疎通すら出来ない、この無罪判決の

 意味を理解することも出来ない状態だという。

  

  問題は捜査機関は例えそれが冤罪で真犯人を逃しのさばらせることに

 なろうと(この事件ではその後自殺者が出ているようだ)、「犯人を捕

 まえた」という実績さえあれば「後は野となれ」で、人一人潰そうが

 何をしようがお構いなし、逮捕起訴したという警察、検察(権力)の

 体面を保つためなら「証拠を捏造する」などなんでもあり、またマス

 コミも捜査機関側が一方的に垂れ流す情報を信じて社会に垂れ流し、

 袴田さんを犯人に仕立て上げるのに手を貸してきたという、こうした

 恐ろしい社会に私たちは生きているということだ。

 

  今でも人質司法が平然と続いているし何も変わってはいない。

  「証拠の捏造」が明白に暴露認定されたことを権力側がそのまま

 容認するとは思えない。「控訴」の暴挙に出る可能性がある。しかし

 それは許されることではない。