円安物価高
家計が追い詰められる
16日に発表された24年1~3月期のGDPの速報値では、実質の個人消費
が前期比0、7%減少となった。4四半期連続のマイナスとなりリーマン
ショック以来15年ぶりの異常事態。
個人消費の落ち込みで今期の実質GDPは前期比0、5%減
(年率換算2、0%減)。
円安(物価高)が続き自動車など輸出企業は大儲けしているが、仕入れ
価格の高騰で中小企業は苦しみ、賃上げは中小にはあまり波及せず実質
賃金の低迷(3月のそれは前年同月比で24ヶ月連続マイナス、過去最長)
で家計が圧迫され続けている。
2人以上世帯で前年比10万円以上家計出費が増えるとの試算もある。
とりわけ厳しいのが非正規雇用労働者。今や非正規は約2100万人、
労働人口の37%を占める。もともと非正規の月給は正社員の7割程度で
しかない。その上賃上げからは取り残され格差は拡大、物価高に追い詰
められている。
日本の経済界は非正規雇用労働者を雇用の調整弁として使うことに
よって、全体の労働者の賃上げを抑制することに成功してきた。御用
組合は非正規雇用の拡大に一切抵抗することをしなかった。
生産性を上げることを労働者を安くこき使うことだけで実現してきた
(賃金を低く抑えることで利益を上げてきた)といえる後ろ向きの日本
経済の基本構造の歪みこそが、「失われた30年」の長期低迷を作り出して
きた。
その結果としての日本経済の弱体化、円安、日本売りの悪循環。
政府(日銀)はこれに対抗して僅かな金利の引き上げの手を打つこと
すらとても出来ず、ただひたすら米国の利下げ開始を待つしかない。
岸田自民党政権はまるでやる気もない「政治資金規正法」改正問題に
追い詰められていて(与党公明党との法案の調整もできないでいる)、
肝心の円安対策などをやるだけの統治能力を既に失っている状態である
からどうしようもない。
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米国ではインフレ鈍化を示す経済指標が出され、FRBの利下げ開始が
早まり景気後退が避けられるとの期待から、ダウ平均株価が4万ドルを
越えるなどしている。
この米経済はなんといってもウクライナやイスラエルへの軍事物資の
巨大な支援策による軍需(軍産複合体は大儲け)に根っこで支えられて
いるのは明らか。
イスラエルへの支援に対して米国の学生たちは「ジェノサイド、ジョー」
をスローガンに激しい抗議行動を続けている。若者やアラブ人、イスラム
教徒の票を失うのを恐れてバイデンは「停戦の努力を続けている」と口
ではいうが、ネタニヤフにコケにされるばかり。老ぼれすぎるジョー・
バイデンはこのままではトランプに負けるだろう。
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ジョーの思惑をよそにイスラエルはラファでの地上戦闘を拡大しており、
ラファから80万人(見当もつかない!)もの市民が追われて、中部デール
バラハなど避難民が密集した地域では水も食料もない状態で追い詰められ
ているという。
ラファ検問所の封鎖による支援物資の滞りに加えて、人道状況が極端に
悪化してしまっている。
そのイスラエルではガンツ前国防相やガラント国防省などがガザの戦後
統治計画を巡ってネタニヤフと対立、戦時内閣内部で亀裂が広がっている。
(ガンツはパレスチナやアラブ、欧米諸国からなる統治機関の樹立などを
公表しており、ネタニヤフの1番の対立首相候補である。)
戦時内閣の崩壊はネタニヤフの下野を招き、ハマスの越境攻撃を許した
ことへの責任追求や汚職裁判でネタニヤフはヘタをすると刑務所送りと
なりかねない。
「だから政権維持のためにネタニヤフはイタズラに戦闘を長引かせている」
との批判がイスラエル国内で強まっている。
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ウクライナではロシア軍がウクライナ東部ハリコフ州に侵入、新たに13
の集落を制圧したとしている。激しい砲撃に約1万人の住民が避難を余儀
なくされているし、州都ハリコフも死者を出す攻撃にさらされている。
ロシアは東部での戦闘でウクライナ軍の戦力を割かせて、南部ドネツク
での要衝を巡る攻防を、アメリカからの軍事支援物資が本格的に届く前に
優位に進めようとしているようだ。そのための膨大な数の兵士の消耗を
プーチンはなんとも思ってない。厳しい消耗戦が続いている。
そのロシアもプーチンが中国詣でで習近平にお助けを請わなければどう
にもならない状態に追い込まれていることは間違いない。