ガザ戦争200日
4月現在の世界
米議会(下院、上院)でウクライナ支援緊急予算案(約608億ドル、約
9兆4千億円)がようやく可決された。24日バイデンの署名で成立し第一弾
として約10億ドルの追加軍事支援が拠出され週内にも兵器の供給が開始さ
れそうだ。
英国も過去最大の5億ポンド(約960億円)の追加軍事支援を約束した。
昨年の反転攻勢が頓挫し兵器と兵士の不足からロシアにジリジリと領土
を制圧され、また防空能力不足からウクライナ全土に対するロシアの無人
機やミサイル攻撃で損害、犠牲を重ねてきたウクライナにとっては待ちわ
びた朗報だ。しかし動員は思うに任せず兵士不足は否めずこの軍事支援で
ロシア部隊を押し戻すことができるとは言えないようだ。
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イランとイスラエルの報復合戦が泥沼化することは双方とも得策ではな
いと判断して矛を収める方向にあるようだ。
これにより外交的な得点を稼いだ格好のイスラエルはいよいよ120万人
もの避難民でごった返すガザ南部ラファ侵攻の準備を進めている。
23日でガザ戦争開始から200日となった。この日までに南部ハンユニス
のナセル病院敷地内の地中から少なくとも310人もの遺体が見つかった。
北部の病院敷地からも虐殺遺体が多数見つかっている。
ガザ側が発表した戦闘による死者は3万4千人を越えているし、今回のよ
うに埋められたり、空爆による瓦礫に埋まってる犠牲者は7千人を越える
ともいわれている。
それでなくともガザ市民は極限的な飢餓状況に追い詰められており支援
の手はイスラエルの妨害でなかなか届かない。
ネタニヤフはどこまでもパレスチナ人の虐殺を続けるつもりだ。
イスラエルでは起点となったハマスの奇襲を防げなかったとして軍情報
局長が辞任した。だが責任は明らかにネタニヤフにありこれは程のいい身
代わりに過ぎない。
イスラエル国内ではこれと人質の解放が進まないことに対して責任追求
のデモが繰り返されている。
だが戦時内閣が崩壊すれば、ネタニヤフは刑務所行きは間違いないから
絶対に責任を取るつもりはなく、戦闘を激化させることに活路を見出すし
かない。ネタニヤフは自分の権力の延命のためにのみパレスチナ人の虐殺
を続けているわけだ。
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円安がとうとう壁と見られていた155円台となった。政府日銀のドル売
り円買い介入に対する警戒感が高まってはいるものの、今日現在まで踏み
切れず指をくわえたままのようだ。基調の日米金利差が大きいままだから
介入もどれだけ効果があるものやら?これでは先々の極端な物価の値上が
りは必至で我々のくらしはさらに追い詰められる。
岸田政権は政治資金規正法の改正などもやる気はまるでない上、この
「安倍派の裏金問題」以来のゴタゴタ(安倍派の自民党内での処分でお茶
を濁す程度の茶番劇)にかまけて肝心の円安対策、物価対策、能登半島
地震復興の陣頭指揮も放り投げたままである。
ただ日本の軍事力強化と戦争のできる国への体制づくりを進める事だけ
は肝腎要と思っているのだろう。
こうした中日本在住の中国人研究者らが中国に一時帰国した後、行方不
明となっていることが次々と明らかになっている。
中国籍のハン亜細亜大教授が昨年2月に一時帰国したまま失踪したり、
神戸学院大の胡教授も昨年夏一時帰国して消息不明になっていることが分
かってきた。
中国は2014年に「反スパイ法」15年に「国家安全法」を施行し、「15年
と16年は『国家安全部』内では『国家安全年』と定められ、取り締まりを
強化した」以降にスパイとして日本人15名を拘束した(21年まで)。
昨年3月にはアステラス製薬の社員を拘束している。
16年に拘束され6年以上も中国の獄中に繋がれ帰国した鈴木英司さんは、
40年以上に渡り「日中青年交流協会」の理事長として活躍し、中国の大学
の教員さらには国家安全部が所管する!「国際関係学院」の教員まで務め、
むしろ中国側から「日本に帰って大丈夫か」(つまり中国のスパイと疑わ
れないか)と心配されたこともあるほど典型的な「友好人士」だった。
鈴木さんの場合は彼が日本の「公安調査庁」と接点があったこと(もち
ろん自覚的なスパイではないのは当然だとしても、うかつにも彼自身はこ
れをスパイ組織とは認識してない上、どうやら公安調査庁の幹部に大物の
中国スパイがいるらしく、これに指された可能性がある)、さらに習近平
が権力を握る上で邪魔な存在となった李克強元首相その他の「共青団」出
身者、及びその系列の人たちと繋がりが深かったらしいから、であった
ようなのだ。
# 彼は同じ獄に繋がれた中国人は「習近平体制下の権力闘争の犠牲者」
だと評価しているのに自分もそれに巻き込まれたのかもしれないとは思っ
てないようだ?
しかもこれだけ深く中国に入り込んで権力闘争に巻き込まれたとすれば
日本の外務省官僚が(「ザマミロ」とは思っても)親身に手を差し伸べて
くれるはずもないということを少しも思ってもいないようなのが不思議で
仕方ない?
またここで暴露された「公安調査庁内にいる中国スパイの大物幹部」に
ついて、日本のスパイ組織に中国スパイが深く入り込んでいるという話な
のにマスコミは真相究明に動いているのだろうか?毎日新聞は?
**『中国拘束2279日』(鈴木英司、毎日新聞出版)
鈴木さんの場合に見られるように習政権はこれまでの日中交流協会など
既成の日中交流の根を絶とうと、その繋がりのある日本人をスパイとして
拘束し始めた(もちろんこの関係の場合だけではない)ように、今度は逆
にともかく外国人、外国と繋がりのある中国人をスパイとして取り締まる
(日本在住の中国人研究者らを標的にする)ことが、情報漏れを防ぎ「国
家安全」に資するものとしているようだ。
これでは日中関係はメチャメチャになるのは当然なのに岸田政権は強い
抗議すらしていないようだし、真相を究明しようともしていない。本当に
何もできないのには呆れるばかりだ。