中東危機と日本の危機
イランのイスラエル攻撃
14日未明、イスラエルによるイランの在シリア大使館攻撃(1日)に
対する反撃としてイランはイスラエルにミサイルやドローンなど数百発の
直接攻撃を行った。イスラエル直接攻撃は初めてだ。
米英仏軍の協力もありイスラエルはこの99%を迎撃したと発表し、イ
ランに対する報復を宣言した。
イランの攻撃は米国の参戦を警戒し犠牲者を出さない「限定的な作戦」
に留めたとしているし、米政権と水面下で交渉しながらだったらしい。
米政権はネタニヤフに「99%迎撃した」のだからと反撃の自制を求めて
いるし、米政権の了承なくしてはありえないがイランが前面に出た攻撃に
対してはイスラエルの反撃は不可避だ。
とりわけイランの核施設へのイスラエルの攻撃が懸念されているし、
反撃に対してイランはホルムズ海峡の封鎖をちらつかせている。
またイスラエルはこれを取引材料としてガザ地区ラファへの地上侵攻を
開始するかもしれない。
しかし双方とも中東戦争に拡大することは得策ではない。イスラエルの
反撃も「メッセージは送るが死傷者は出さない」「限定的」方法を検討し
ているとか伝えられている。だがお互いのメンツの張り合いでどう転ぶか
予断は許さない綱渡り状態にあることは間違いない。
*
中東危機が深刻化しホルムズ海峡の封鎖という話が出るだけで原油の高
騰は避けられなくなる。まさにこの危機の中円安が154円台をつけるなど
留まることを知らない。政府、日銀の口先介入では事態は収まらないし、
円安を止める気があるのかすら不明。
原油高騰、円安の進行で更なる物価の高騰が避けられなくなる上、春闘
の賃上げが中小企業に波及することはほとんど望み薄で労働者の実質賃金
は下がり続けるばかり。エンゲル係数は上がる一方。
庶民の生活がますます脅かされるばかりなのに対策はそっちのけで岸田
は訪米し、バイデン政権、議会の顔色を伺いながら日米同盟を「かつてな
い高みに」引き上げることを約束した。
とりわけ自衛隊と在日米軍の「作戦指揮機能の統合」つまり米軍への自
衛隊の従属化を完成させ、いよいよ米国の世界戦略の片棒を担がされ自ら
戦争のできる国へさらなる一歩を踏み出すことが明瞭となった。
自民党政権の対米従属は止まることを知らない。
岸田政権は敵基地攻撃能力(反撃能力)の保有や防衛費倍増を推し進め、
特定秘密保護法に続く「経済安保法」なども可決した。
これは戦争のできる国への転換の流れの一環なのに立民はこれに賛成した。
まあそんな程度だとはいえ許し難い話だ。
更に東電は柏崎刈羽原発で、異例なことに地元自治体の同意も得られて
ないまま、核燃料棒の装填を開始し、再稼働の既成事実化を強引に進めよ
うとしている。
能登半島地震で原発事故時の避難計画が役に立ちそうもないことが鮮明
となったのに見直しすらやらないままである。
規制委が作業を許可したわけだが、これは明らかに原発稼働に前のめり
の岸田政権(&原子力マフィア)の指図に他ならない。
福島原発事故を引き起こし、避難者はほったらかし、事故終息の展望も
なく(核燃料デブリの取り出しは全くできてないしできそうもない)、そ
の責任も果たさぬままの東電が原発を再稼働するなど許してはならない。
岸田は安倍以上に日本を危機に引き込むばかりだ。
(補足)
*核燃料装填早速トラブルで中断
東電は17日、再稼働を強行しようと核燃料の装填を開始したばかりの
柏崎刈羽原発で「制御棒を挿入する装置の電源が入らなくなるトラブルが
発生し、作業を中断したと発表した」。15日の作業開始時にも別の装置で
異常が発生約3時間作業が中断したから、作業3日で中断続き。再開時期
は未定。原因は分かってない。
規制委の山中委員長は「安全上の問題はない」と早速手を差し伸べる
始末で、東電、規制委は本当にどうしようもない。
その17日夜豊後水道を震源とする地震が発生し、愛媛の伊方原発が揺さ
ぶられた。原発で地震を回避できるところは日本のどこにもない。