二週間 | 鬼川の日誌

二週間

  能登半島地震二週間

 

 

 

  新年早々何という打撃だろう。最大震度7、マグニチュード7、6の能

 登半島地震から二週間。能登半島の北側が最大で4mも地盤が隆起したが、

 ここでこの規模の地震は4000年に1回の大地震といえるそうだ。各地の港

 が損壊してしまっている。

  15日現在、死者は222人(安否不明がまだ20人以上いる)、避難者は

 19000人以上もいる。15地区490人もがまだ孤立集落に取り残されている。

 

  半島で海が迫る山間地という能登特有の事情が輪をかけて、道路はズタ

 ズタで支援、インフラの復旧が思うに任せない。停電が続く所がまだ多く

 とりわけ断水が広範囲で5万5千戸以上と深刻。水道の復旧は最も目処

 が立たないようだ。

 ( 飲み水の不足だけでなくトイレ、風呂など日常生活が困難で衛生面の

  心配、感染症が広がっている。酪農も水が足りないので牛たちの健康も

  危ないそうだ。)

 

  雨、雪が降り続き寒さが最も厳しくなるこれから、支援に駆けつけた人

 たちの奮闘には頭が下がるが、被災者は極めて厳しい事態に追い込まれて

 いる。建物の危険度判定が進み、輪島市では50%以上、珠洲市では47%以

 上が立ち入り危険の判定がなされたというから、いかに家屋に甚大な打撃

 があったかが明らかになっている。

 

  災害関連死が憂慮されるなか2次避難が進められているが、これもそれ

 ぞれの事情もありなかなか難しいようだ。とりわけ子供達をどうするか深

 刻である。学校が避難所となり再開できないところでは中学生の2次避難が

 始められているようだがこれも厳しい。

 

  *

 

  志賀原発は今回の地震で変圧器が壊れ(油漏れを起こし)、外部電源を

 一時喪失した。運休中で福島原発のような危機には陥らなかったというも

 のの復旧には半年かかるという。その他いくつかの「想定外」の事態が起

 こっていたようなのだが、規制委は下手に騒ぐと原発への不安が掻き立て

 られるからだろうが、何ら手を打とうとしないで事態を隠蔽している。

 

  * 

 

  今の科学の力では地震がいつ起こるかを予知することは難しい。しかし

 今回の地震の震源となった断層は未知のものではなく、既に14年に政府の

 有識者検討会が公表した活断層で、ここで地震が起きた場合はM7、6に

 なると想定していたらしい。しかし「政府の地震調査委員会もこの断層を

 把握していたが、地震の切迫度などを調べる『長期評価』をしておらず、

 広く周知されていなかった。」ということが15日の『東京新聞』に掲載さ

 れている。

 

  阪神淡路大震災の場合も「神戸周辺の活断層の存在は専門家の間では知

 られ、地震が懸念されていたが、地元自治体の対策が不十分で、住民にも

 危険性が伝わっていなかった。」この反省から政府の地震調査委員会(が

 所属する地震調査研究推進本部)は設けられたのだという。

  結局阪神の教訓は生かされず、同じ轍を踏んだということになる。

 

  この「長期評価」はまだまだ時間がかかるそうで、それまでは一般には

 活断層の危険は周知されないので、「中間評価という形でも、どこに活断

 層があるかを広く知らせること」が急務だと東京新聞は提言している。

 

  *

 

  またここでこの「長期評価」を解説している。「地震の規模や『30年以

 内に何%』といった発生確率を予測」するもので「現在114の主要活断層や

 6地域の海溝型地震などについて発表している」そうだ。

 

  しかし「南海トラフ地震だけ他の地震と確率を出す計算方法が異なり、

 地震学者らから『水増し』の問題が指摘されている」つまり、南海トラフ

 地震の確率は相当怪しいものだということが、東京新聞記者の追跡によっ

 て明らかにされてきている。

 

  危機を煽られているものは確率が水増しされ相当に怪しく、危ない活断

 層の周知とその対策は影に隠されている。

  結局地震については何も分かっていないのだということになる。しかし

 日本には危ない活断層がそこら中にあり、海溝型地震もいつ起こるかは分

 からないがいつ起こっても不思議ではないということだけは確実なのだ。