歪な国、中国 2 | 鬼川の日誌

歪な国、中国 2

 

  1日、一時的戦闘休止は7日間で終わりまたイスラエルによるガザ攻撃

 が開始された。ガザ南部ハンユニスや難民キャンプなどがハマスの拠点だ

 として重点的に爆撃され、南部への侵攻が始まろうとしている。数十万人

 単位もの避難民でごった返し、水も食料もなく飢餓に追い込まれ深刻な人

 道状況にある南部への軍の侵攻は文字通りのパレスチナ人大虐殺の再開だ。

  バイデン政権はこれを止めようともしないし出来ない。絶望的状況で世

 界中に混乱が広がる。

 

  しかしハマスにしろネタニヤフにしろ市民、国民のそれぞれの支持率は

 3割とか2割でしかなく今の戦争が歓迎されているわけでは決してない事

 を忘れてはならない。「憎しみの連鎖」を連鎖たらしめているのはあくま

 で権力者たちで市民は犠牲にされている。

  

  先日開催されたCOP28(国連の気候変動対策会議)に合わせて、日米な

 ど20カ国が「世界の原発の発電能力を50年までに3倍に増やすとの宣言」

 をまとめたらしい。原発がクリーンだなどという嘘八百!こういうのを火

 事場泥棒と言う。

  福島の原発事故がなかったかのように、率先して原発回帰を目論む日米

 原子力マフィアどもは本当に許し難い。

  

 

 (続き)

  * 統制強化が進む中国

 

  また愛国主義教育法では「中華民族の団結や国家統一に資する」ことが

 目的だという。

  ここでいう中華民族にはウイグル族やチベット族などの少数民族も一括

 りにされている。ウイグル族、チベット族などは漢族とは見た目も、文化

 も、言語もとりわけ宗教が違う。

 

  ウイグル族はほとんどがイスラム教。チベット仏教も様々に弾圧されて

 いるが、2014年4月習近平が国家主席として初めてウルムチを訪問した際

 の独立派によると思われる「爆破事件」以来ウイグル族弾圧は苛烈を極め

 ている。

  100万人単位が収容所送りとなり、共産党に従うよう洗脳教育が強制され

 ているから尋常ではない。その上新疆ウイグル自治区に金を払って漢族を

 大量に移住させ、2015年にはウイグル族人口を47%まで低下させるなど、

 民族浄化ともいえる許し難いことをやってきている。

  

   だから「中華民族」の名の下に「国民」の統制を一層強化するために

 「愛国主義教育」がある、これはあまりにも明白だ。当然今のウイグル族、

 チベット族など少数民族の弾圧をさらに強化するためのものでしかあり

 えない。

 

  * 「国家安全」、習近平の安全

 

  習近平政権は総じて「国家安全」を最優先とし異論を排除する姿勢をます

 ます強めている(「国家安全省」なんてのがある)。人権派弁護士などに

 対する弾圧は熾烈を極める。

  11月24日「国家政権転覆罪」に問われていた民主活動家二人に懲役14年

 と12年という極めて重い判決が確定した。

  こうしたデタラメな弾圧法令を次々と作り強化し、中国は「法治国家」

 だとうそぶき、ウイグル族弾圧への抗議などを内政干渉だと居直るのだか

 ら何ともヒデエとしか言いようがない。

 

  「国家政権転覆罪」などをでっち上げて牢獄にぶち込むだけでなく、牢

 獄から出てきたとしても自宅前に常時数人の男が待機し動向を監視すると

 いう。

  たった一人に常時何人も貼り付ける執拗さ、異様さだが、これが14億人

 の巨大な社会のあらゆる場所で行われているのだから当然その費用たるや

 とんでもないものになる。これ自体が中国経済の足を引っ張る。

  「中国政府の社会安定にかけるコストは国防費を超える」と指摘されて

 いるのもうなずける。

 

  今習近平は政権内部でも国防相や外相を切り捨て、さらに人民解放軍の

 大粛清を始めたようだし、ますます習近平個人独裁色を強めている。

  中国はなんとも異様な歪な社会(毛沢東個人崇拝時似の)となりつつあ

 る。いや既になっている。

  毛沢東は「人民公社」「大躍進政策」という人類史上最悪のおバカな政

 策で2000万〜3000万人と言われるほどの中国人民を餓死に追いやった。

 誰もこれを止めることができなかった。似たような悲劇がまた起こらない

 とも限らない。

 

  今度はそれが外に向かうかもしれない。そうなると世界中が悲劇に巻き

 込まれることになるが、今の異様さではこれが単なる杞憂とは言えないから

 恐ろしい。これをむしろ日本の軍事力強化の絶好の口実として、金儲けの

 チャンスと喜んでいるのが日米軍産複合体に他ならない。中国の動向を日

 本の軍備強化、戦争の出来る国への変質の理由付けとして、日本もまた

 いよいよ歪な社会への道に踏み込みつつあると言わざるをえないから問題だ。

 

 

 (11月14、15日の「東京新聞」『視点』新貝憲弘、加藤直人論説委員の

  投稿を参考にしました。)