谷川岳・南稜 2
南稜・国境稜線から肩の小屋へ 19,6,4
南稜登攀を終了して次の草付きスラブ帯の前でしばし休憩。今回は乾いて
いるスラブ帯に取り付く。前回は濡れていて厳しかったが、そうでなくとも
Ⅲ+くらいはあるらしく、登山靴で登るのは結構大変だった。それにかなり
長い登りだということもある。
(トポでは草付きとスラブで烏帽子尾根へ、約150mとある。私たちは
その先しばらく藪を漕いだし。)
この部分の登りの写真を撮れなかったのは残念。
先頭を引っ張る仲間はは草付きスラブ帯からそのままルンゼ状の笹薮漕ぎ
(足元は岩稜)に突入したのだが、この前辺りから烏帽子尾根への踏み跡を
探せば良かったようだ。
前回どうしたかを私は忘れていた。先頭を交代しながらしばし登るうち
こんなに藪漕ぎが長くはなかったと思いだして、この時先頭を行く人に探っ
てみるよう勧め、結構難しく悪いところだったがその人が頑張り尾根に出て
踏み跡を見つけることが出来た。
ルンゼ状のほぼどん詰まりまで行き戻るように尾根に登ってきた人もいた。
この時落石があり後ろの人を直撃するかと一瞬ヒヤリとする場面もあったが、
幸い逸れてくれた。これはもう運が良かったというしかない。
尾根に出るところでハクサンイチゲが咲いていた。シャクナゲもあちこち
できれいに咲いていたがもう少し時期が遅いかなという感じ。尾根に出て少
し休憩する。
この時13:05頃か。およそ1時間近く掛ったわけでここが結構大変だ
った。笹薮漕ぎが相当埃っぽく皆さん咳き込んでいた。
先に5ルンゼの頭らしき岩塔が近かった。
5ルンゼの頭の取り付きまで行きどうするか検討する。前回も登ったしフ
リーで登れなくはないのだが、酷く岩が脆かった覚えがあり見るからにその
ようだ。
ここは無理せずロープを出しO2がリードで登る。途中岩にロープを被せ
るなどしてランナーを取り一つハーケンを見つけてクリップして登る。棚に
上がった辺りにはぼろぼろの岩屑があり落とさないように要注意。上がった
所の岩に支点があった。
ビレイ支点を作り皆に登ってもらう。13:40くらいから。
登ってくる皆の後ろの谷川岳の岩壁が凄まじい。目の前の谷川岳山頂が大分
近くはなってきたがあれまで行くかと思うとまだはるか。
上越国境の山々はまだまだ白い。
ここから先まだ厳しい岩稜帯が続くがもうロープを出すようなところはな
いのでビレイ支点を撤収しロープを収納する。O2がやっている間に5ルン
ゼの頭を巻いて皆に先に進んでもらう。
また私が歩き出し岩稜を登る皆を見た時で14:05頃か。
この先ナイフリッジを通過するが難しくはない。しばらく岩稜帯の登りで
ある。
岩稜帯が終わると深い笹薮漕ぎである。あまり人が歩かないだろうからネ
マガリ竹が踏み跡を覆っていてこれが結構滑り歩きにくい。段差もなかなか
大きい。とはいえ踏み跡があるだけましではある。
この登りがO2には疲れが出てきつかった。皆さんに追いつけない。
長い藪漕ぎで疲れた。とても疲れたが岩稜帯(といっても半分藪)を終え
て笹藪に突入したのが14:20〜25頃で稜線に飛び出したのが14:45頃。
5ルンゼの頭からでも45分くらいなわけでそれほど時間はかかってない。
後は登山道を行く。ここで大きな山場は越えて一区切りである。
一ノ倉岳の山頂直下、少し休憩。肩の小屋に仲間が連絡を入れる。
これからは登山道とはいえ一旦ここから大きく降り、登り返して目の前に
聳える谷川岳の双耳峰を越えていかなければならない。まだまだ先は長そう。
15時前に歩き始める。
道端にシラネアオイやシャクナゲを見ながら進む。
15:20頃にはノゾキからはるかに登ってきた一ノ倉沢を俯瞰する。
結構いくつもの小ピークを越えていく。
15:35頃。桜がまだ咲いていた。
この雪渓が下から見た雪庇の張り出したそれなのかな?
15:45頃に鎖場を越え、オキの耳奥の院を過ぎれば、山頂である。
15:55頃で一ノ倉岳からほぼ1時間。かなりの登りだった。
オキの耳に登れば後は近かった。
16:00頃に出てトマの耳に16:15頃。
山頂直下のこの雪渓の辺りがマチガ沢を詰めた最後の泥壁になる。
掴むものがなく、泥壁に手足をねじ込んで登ったがあれは怖かった。
もう目の下が肩の小屋だ。O2はゆっくり降ってラストで16:20過ぎ
である。
ようやく着いた。ヨレヨレになったが何とか歩きとおすことが出来た。
センターを出てからだとほぼ12時間近く。今のO2には目一杯の行動
だった。
肩の小屋に入り受付を済ませ(都岳連カードやjRO会員券があれば宿泊
代が¥500引き)とりあえずビールで無事到着を祝し乾杯。久しぶりに最高
の味。
経験者として同行を頼んできた今回の企画リーダーはお酒を担ぎ上げて振
舞ってくれた。これも美味しかったな。
何より小屋の管理人さんが親切に歓待してくれた。お陰で気分よく寛ぐこ
とが出来た。「もう8年になる」とかだから前回とは代替わりしているわけ
だ。今回まで谷川岳には登っても泊まることはなかった。
泊りは他に3人くらいいたようだが夕食は私たちだけだった。
夕食後も部屋で話し込み寛いだ。夜は暖かく寝袋が暑いくらいだった。
疲れは酷かったはずだが意外と寝つきは悪かった。
(ほぼ了)