赤岳主稜 | 鬼川の日誌

赤岳主稜

  赤岳主稜敗退  19,4,6・7    

 

 

  今シーズン雪山登山のメインイベントのはずだったが登攀当日強風で取り付き

 までで敗退ということになった。ちょっと残念だったが仕方がない。

 

  6日入山日は快晴の天気だった。美濃戸まで車で入り歩き始めると直前に降雪

 があったようで結構雪が多い。美濃戸山荘で(チェーン)アイゼンを付ける。

 

 

   12:00には堰堤に着いた。昨年11月小同心クラックを登った時はここから

 赤岳鉱泉まで山越えのルートで結構大変だったが、もう沢沿いの道が復旧した

 ようだ。大分助かる。

 

 

  沢沿いの登山道を進む。やがて大同心、小同心の岩峰が見えてくる。

 

 

  13:10過ぎにはアイスキャンディーと大同心岩峰を見る。

 

 

  赤岳主稜組は4名だが今日はコラボで阿弥陀岳の一般ルートを登る隊も一緒に

 赤岳鉱泉に泊まることになっている。彼らは11名。1~2時間くらいして到着した。

  部屋割を決めた後は談話室で宴会である。今日もお酒がたっぷりあったな。

  T-wall錦糸町でよく出会うというガイドさんが連れた一行も明日小同心クラック

 に行くとかで談話室で宴会をやっていた。ガイドが明日は風が強そうでどうなる

 かな?と言っていた。私たちも風が強いとの予報で心配である。

 

  7日朝は4時頃には起き出して主稜組も阿弥陀岳組もまだ暗い5時過ぎ頃には

 出発した。5:35頃には行者小屋。今日は重い曇天である。

 

 

  いらない荷物をデポしてさて!というところで1人がピッケルを宿に置いてきて

 しまったことに気がついた。ピッケルなしとはいかないので取りに戻る。ここまで

 私が後ろにいたのでピッケルがないことに早く気がついてやればよかった。

  元気な人なので往復1時間くらいと頑張った。その間に阿弥陀岳組は出発して

 いった。私たちが行者小屋を歩き出したのが6:45頃になったようだ。

 

  

 

  少し歩くといつもは急な階段を登る。ここが雪に埋まって急な雪壁になっていた。

 結構雪が多いようだ。これを越えると吹き曝しの稜線に出る。やはり風が強い。

 北風だからここはもろに風が吹きつけてくる。

 

 

  もう少し登りながら左手の谷の向こうの見覚えのある主稜取り付き点(目印の

 チョックストーンは雪に埋まっていても形で分かる)を探す。思ったより上だった。

 (トラバースの尾根の起点は2650m付近だと今度のトラックの記録で分かった。)

  これを見つけてダブルロープを結び、尾根にある鎖とその鉄の支柱をビレイ

 支点にしてもらって取り付き点に向けて私からトラバースを開始する。

 (ここの鎖とその支柱も目印になる。)

  先には人はいないし踏み跡は微かに残っているところもあるが基本雪と風に

 消されたようだ。雪面はかなり硬い。しかし夏の踏めばザラザラと崩れるボロ岩

 をトラバースするよりはアイゼンがしっかり効くのではるかにいい。

 

  50m一杯かなというくらいの中間点に岩が出ておりここにボルトが打ってあった。

 これを支点にして私の相棒に来てもらう。そしてその先取り付き点までリードして

 もらう。後にはもう一組が着いてきてリードが到着し同じ支点で後ろをビレイする。

 

 

  相棒が取り付き点に着き(太いロープの支点がこちらからも見える)、ビレイして

 もらい次に私が取り付き点に行く。

  私が取り付き点に着き後続も着いてきているところだがいよいよ風は強く相当

 に冷え込んでも来た。チョックストーンはほぼ埋まっておりこれを乗り越える所が

 1ピッチ目の核心だが、岩が露出しているよりはるかにこれは易しそうだ。

  しかしこの上に出れば風はもろに吹き付け隠れるところはないしそれがずっと

 続く。この風では煽られて危ないし、何といっても風に吹かれ続けると冷え凍え

 てしまう。上がってしまうと撤退するのも懸垂で降りるしかなく支点工作等大変

 になる。これはちょっと厳しいかもしれない。

  そこで皆に声を掛けこの風では撤退した方が良さそうだがと相談して皆の同意

 を得て、残念だがここで撤退することに決めた。後続二人はまだチョックストーン

 まで来てない途中だったがそこからバックしてもらった。

  私たちは中間点までまず私が戻り、先の支点を使って相棒に戻ってもらう。その

 先は相棒のリードで戻る。行きも帰りも延ばすロープが風に吹き上げられる。

 テンションが掛かったかというほど重くなるから相当な風だ。

 

 

  私たちが戻っているときその尾根から阿弥陀岳に向かったはずの人たちが顔

 を出したのでびっくり。阿弥陀岳から御小屋尾根を降るはずだったから。

  後で聞いたところでは中岳を越えて阿弥陀岳に行くには文三郎尾根の分岐を

 過ぎてもずっと北風を受け続けて行かねばならず、この北風は厳しいという声が

 出て阿弥陀岳アタックは止め赤岳に登ってきたということだった。赤岳のルート

 なら回り込めば風は避けられる。

  そんなわけで阿弥陀岳組と前後しながら行者小屋に下山することになった。

 私たちは9:00過ぎくらいからかな。

 

 

  9:40頃には行者小屋。

 

  

  大休止後南沢を降る。阿弥陀岳組はバラケタようだが私たちは11:20頃には

 美濃戸に降り着いた。1時間半弱くらい掛かった様だ。美濃戸から私たちは車で

 阿弥陀組は美濃戸口からバスだ。待たずにそのまま先に帰京する。

 

 

  予報通りの厳しい北風で今回は雪の赤岳主稜の登攀はならなかった。

 このところBCスキーでは天気に恵まれていただけに残念!だがそういつも

 ツキまくるとはいかないものだ。仕方がない。

 

  (了)