小同心クラック | 鬼川の日誌

小同心クラック

 八ヶ岳・小同心クラック  18,11,3・4    

 

 

  私は2年ぶり。経験を買われて案内役で参加することになった。

 ここは難しいわけではないがアイゼンでの岩登りということで10月31

 日に参加者中心に広沢寺でトレーニング。アイゼンのツメを使って岩の小

 さなホールドに立つというのはやはりなかなか大変で、ここで少しでも練

 習しておいてよかった。

 

  3日私は電車で行くがスーパーあずさの指定席が取れなかったくらいで

 満員。甲府で相当降りてザックを横たえ上に座ることは出来たが座席には

 座れなかった。

  ところが茅野駅からのバスは意外に空いている。まだ雪山未満の半端な

 時期だからだろうか?赤岳鉱泉の宿が人で溢れんばかりだというのはいつ

 も辟易するから私には有難い。

 

  夏の台風で南沢も北沢も登山道がひどい被害を受けた。美濃戸口から直

 ぐの橋も流された。しばらく美濃戸まで車では入れなかったのがつい最近

 橋が付けられ通れるようになったとか。小同心の他の参加メンバー5名は

 車で美濃戸まで入る。私は小同心企画とコラボの大同心稜組8名とたまた

 ま日が重なった阿弥陀岳に登るという会の3名とともに赤岳鉱泉に向かう。

 

 

  真新しい橋。

 

 

  美濃戸、堰堤と進むが台風で道が川のようになって荒れたところを補修

 したザレ道も多く歩きにくい。

 

 

  そして堰堤から先は川沿いの道はまだ復旧せず旧道を行く巻き道となる

 のだが、これがしばらく登りできつい。またトップ辺りが大岩ゴロゴロを

 縫う道で湿って滑り歩きにくい。川沿いに復帰すると橋が付け替えられた

 り、倒木が多く台風被害の一部を実感する。ガスで大同心は見えなかった。

 全体に赤岳鉱泉までかなりアルバイト量が増したかな。

 

 

  後から追いついてきた小同心組と大同心稜組、阿弥陀岳組が集まったと

 ころで共同で部屋前の談話室を占領して賑やかに宴会。お酒もたっぷりで

 飲みすぎるし、結構いろんなツマミが出るので夕食の前に腹いっぱいだ。

  また夕食は恒例の豪華なステーキなので頑張って食べる。

  次の日やはり腹具合がいまいちだった。もう飲み食いが少し過ぎるとて

 き面に不調になる。

 

  4日朝は曇り気味で冷え込まず割と暖かく助かった。今頃は着るものの

 選定が難しい。あまり用意しすぎても荷になるばかりだし。6時の出発の

 頃曇り空に新月間近の左側が明るい細い月が見られた。

 

 

  大同心沢を遡る。直ぐに左岸から右岸へ渡り樹林帯の中の荒れた急坂を

 登っていく。これも台風の爪痕かかなりガタガタに荒れている。

 

 

  やがて樹林がまばらになる頃中年二人組を先行させる。そして大同心岩

 峰や小同心が7時頃には見えてきた。下界は日が射してきれいに晴れてい

 るようだ。

  右手には赤岳・阿弥陀岳反対側には硫黄岳から蓼科山などに日が当たる。

 

 

  二人組は大同心の基部手前から踏み跡を追って小同心へ向かったが、私

 たちは大同心基部に上がり、基部を回り込むトラバースの終わるところか

 ら小同心へ向かう。こちらの方が道は分かり易い。凍り付いているときは

 このトラバースも厄介だが今頃は問題ない。トラバース終わりで7:30

 前頃かな。

 

 

  小同心クラックの取り付きには8時前には着いたはずだが、先行の二人

 組はここは初めてらしく取り付きを間違えたり、準備が遅く登り始めたと

 ころで8:10前頃になった。フォロワーはマルチ経験もあまりないらし

 い。二人の登りを待つ間がとても寒かったが厳冬期の大同心稜前で-20

 度くらいの1時間半待ちで凍り付く思いをしたことからすればどうという

 ことはないか。

  ちょうど二人の登りを大同心稜組が大同心の基部から見ることになった

 らしい。(右の写真)

 

 

  二人組のリードが棚を越えた辺りで8:20頃、フォローが登り始めて

 O2が後を追うのがなんだかんだ8:30近くになったようで30分以上

 待たされたようだ。

 

  私たちはトップのO2班、第2(リーダー)班、第3(サブリーダー)

 班の3班6名。

  アイゼンは不要ではあるがO2とサブリーダーだけ着けて登る。せっか

 く訓練してきたので。O2は前回もアイゼンで登ったし。

  O2は二人組が棚上にいるのでそのすぐ下にある支点でピッチを切るこ

 とにした。

  登りの途中も適度にハーケンや真新しいボルトや残置カラビナなどがあ

 り支点に困ることはなかった。ビレイ支点にはちょっと不安なロープが沢

 山巻かれている。

 

  1ピッチ目支点をセットしてフォローが登り始め、後を追い第2班の

 リーダーが登ってくるのが見えた。

 

 

  O2班フォロー到着。8:50頃。

 

 

  この後2ピッチ目もO2リードで棚に上がると棚上の支点で二人組のフ

 ォローがビレイしていて彼らもリードは固定のようだ。ところがリードは

 チムニーではなく外のフェース側を登っていた。確かに今ビレイしている

 支点からだとフェース側の方が直ぐ上だから初めてだとこちらに行くだろ

 う。(私たちの第2班はツルベでリードを交代して登ってきたのだがここ

 は初めての人で、棚を越えた時、O2班のフォローが既にチムニーに入っ

 ていて見えなかったらしく、やはりフェース側を登ってきた。ハーケンも

 あり取り付き易いようだし、こちらを登っても問題ない。)

 

  私は邪魔な大岩を右手に回り込んでチムニーに入る。見た目酷くぼろい

 チムニーで覗いても登る気にならないかもしれないが適当に古いハーケン

 もある。チムニーの終わりがちょっと立った壁になっているのを乗り越え

 ると次の支点があり、二人組のリードがビレイしていた。

  私も空いているボルトやリングを見つけて支点を取る。二人で互いの

 フォローが上がってくるのを待つ。二人組のフォローが登ってくるのに結

 構時間が掛かった。

  この先3ピッチ目の取り付きの問題の出張った岩など写真を取ればよ

 かったが二組のロープでごちゃごちゃし狭い場所でカメラを出せなかった。

 

  (続く)