月の運動
月の運動 (15年12月、元記事)
「上弦の月だっけ久しぶりだね~月見るなんて」というくらい、現代の私たち
は月の満ち欠けにはあまり興味がない。日常をつかさどる暦が太陰暦ではなく、
太陽暦だということもある。
しかし久しぶりでも夕空に月が輝いていたりすると「あれは上弦の月なの、
下弦の月なの」という話になるのだがどうもうろ覚えである。
小学生の課題だろうが。
*
月の見かけの形は新月―上弦の月―満月―下弦の月―新月を約30日
(29.53日)の周期で変化する。これが「ひとつき、1ヶ月」である。
月はこの周期で(北極側から見た場合)反時計回りに地球の周りを公転して
いる。
(地球も北極の上空から見れば、反時計回りに自転しているし、地球の公転も
反時計回りである。というか宇宙の星、銀河すべての運動は反時計回り同じ方向
である。
考えてみればもし逆回りの星があれば他の星々との間に摩擦を起こすはずで
あるからあり得ないわけだ。)
そして月の出は1日で約51分ずつ遅くなる。
これは月の公転周期約29.5日と地球の自転周期1日から計算することが
出来る。(**)
この29.5日を4等分すると(29.5/4=約7.4)で月の各サイクル
は1週間強である。そして日毎に51分ずつ月の出が遅れるので、およそ1週間
後には約6時間ほど月の出が遅れるわけである。6時間だから一日の約1/4
ずつとなる。
月は新月から3日目あたりが三日月で日が沈んだ後西の空に見える。
(そもそもこんな話が出たのが、ジムクライミングを終わっての帰り道できれい
な三日月を見たからだった。)
➀ 新月から7日目あたりの上弦の月は夕方頃に南中し(だからその約6時間前、
昼間に月の出となっているからほぼ見えない)真夜中に西に沈む。
② 15日目あたりで満月は日が沈む頃に東の空に現れて真夜中に南中する。
だからまた満月の頃が最も月を見るのに見易い時間帯ということになる。
③ さらに1週間ほど後の下弦の月は夜半に東の空から(月の出)昇ってくる。
皆が眠りに着く頃ということになり、何かの拍子で晴れた夜中に空を見上げ
なければ見ることはない。
④ そしてまた1週間ほどで新月となる。新月は朝が明ける頃に登ってくる。
これまたそもそも新月で見えないし、明るさで見えないわけだ。
(18,11,4日の朝早く6時頃、小同心クラックに登るため赤岳鉱泉を出発
する。この時新月直前の左側が細く光る月が見られた。)
そんなわけで意外と月を見るのも見ようと意識しなければ結構難しいという
ことになる。結局目に付くのは三日月・上弦の月から満月の頃なわけだ。
各サイクルが約6時間ほど遅れるという点から、南中するときで比較すれば、
上弦の月―夕方頃
満月―真夜中
下弦の月―朝が明ける頃
(夜中に登ってきて明け方に南中する。以後は昼間でほとんど見えないわけ
だから、下弦の月は見ることは少ないと言える。)
新月―真昼間―まず見えることはない
ということになる。
*
月の運動を基準とした太陰暦では月が生まれて(新月)から月の前半を上、
満ち足りた(満月)半ばを中、欠けて行く後半を下と言っていて、上旬に当たる
7日頃と、満月を過ぎた下旬に当たる21日頃に月の形が半月形になるので、
「上弦の月」「下弦の月」と呼ばれた(上旬の頃の弦月、下旬の頃の弦月)の
である。
(旬-10日間)
このことと月の公転が反時計回りであることとを合わせて考えれば、太陽と
地球の間に月が来る新月から、月の右側が徐々に見えてきて(三日月)、右半分
が明るくなる(上弦の月)。
そして太陽と反対側に月がくる(満月)、今度は月の右側が徐々に欠けていき、
左半分が明るく残る(下弦の月)となり、更に右側が欠けていき新月となる。
月の右半分が明るいときが上弦の月(弦が左)、
月の左半分が明るいときが下弦の月(弦が右)。
** 月の出の日に約51分の遅れの計算(図が書ければ簡単だが)
1、地球(E)と今日の月の出の公転軌道の位置(A)
2、24時間後地球が1の位置に来たとき、月は公転軌道を1日分
360度/29.5=12.2度進んだ位置にある(B)
角AEB(Eは地球の中心で考える)=θ1=12.2
3、そして次の月の出の位置を(C)とすると角BEC=θ2を
月が移動する間に、地球はθ1+θ2の分だけ自転する
ことになる。
4、地球の角速度は1日に360度で月の角速度は29.5日で360度
5、θ1+θ2/360=29.5θ2/360
6、これからθ2=0.43度となる。
7、θ1+θ2=12.63度
8、24x60/360 x12.63=50.52分 約51分
以下「暦について(ユリウス暦とグレゴリオ暦)、18,1,11」のブログ
と「時間、18,1,14」のブログを参照してください。