釜ノ沢東俣
東沢釜ノ沢東俣 18,7,20~22
10日群馬県の防災ヘリ「はるな」が墜落して山岳救助のスペシャリストが9名も
犠牲になった。業務委託を受けている「東邦航空」がこれまでも度々事故を起こし
ていることが指摘されているし気にかかる。しかし気象条件も悪かったようだし、
「異常な爆音」が聞こえたというし今回の事故がどういう原因かはまだ分からない。
ともあれ乗員すべてが死亡する最悪の事故で痛恨の極みです。
私は7月21日、釜ノ沢東俣を仲間たちと遡行した。東沢から釜ノ沢に入り、魚留ノ
滝を越えて千畳のナメの絶景で歓声を上げ、両門ノ滝・薬研ノ滝を越えてテント場に
着いた。順調に来れたことに乾杯し寛いでいるなかで、私が全くの不注意で足を
滑らせて右腰を岩に打ち付け動けなくなってしまった。尖り気味の岩の上に落ちた
らしく文字通り骨身にこたえる痛さでただ呻くしかなく一歩も動けなくなった。
私の異常な様子にリーダーがすぐさま救援要請を決断し、サブリーダーと元気
メンバー計3人が電波の通じるところまで登ってくれた。3人は結局真夜中に木賊
山に辿り着きようやくそこで下界と電波が通じ救助要請をしてくれたという話だ。
真夜中にシャクナゲの藪(私も経験があるがこれは本当に手強い)を漕いでの登り
だったらしく大変な苦労をしただろうと思う。ただ感謝するしかない。
夜通し見守ってくれた仲間たちも含め今回の沢登りメンバーには多大なご迷惑を
おかけしまったく申し訳ないとしか言いようがない。
ともかくこの仲間の真夜中の救援要請と応じてくれた日下部署が迅速に救助隊
を編成しヘリを出してくれたお陰で、翌朝早く私は救助ヘリにピックアップされて助
け出され救急病院に担ぎ込まれた。
今回の群馬県の救助ヘリの事故だけでなく埼玉県の沢登りの救助中のヘリ遭難
事故もまだ記憶に新しい。思えばこうした数々の犠牲の上に私の救助もあったこと
になる。犠牲になられた方々のご冥福をお祈りするばかりです。それにしても今回
の9名はもちろん皆さんまだ若い。残された家族の悲嘆を思えば言う言葉もない。
迅速に救助されたおかげで私の腰骨(腰椎から左右に出ている小さな骨の右側
先端、第1と第2腰椎の2か所)の骨折も2週間後には楽になってきた。腰に打撃は
絶対不可だから落ちない程度の試しのボルダリングや軽い山歩きも出来るように
なった。今は3週間を過ぎほぼ癒えて普通にクライミングも出来るようになってきた。
まだ飛び降りるなどの打撃は出来るだけ加えないように注意している。
仲間や救助ヘリに感謝しご迷惑をおかけしたことを深謝するばかりです。
事故は起こさないよう肝に銘じます。
そんなわけでなかなか今回の沢登りの記録を書き留める気持ちになれなかった。
しかしようやくケガも癒えてきたことだし途中までになるが今回の釜ノ沢東俣沢登り
の21日のテント場までの記録を載せることにする。
東沢入渓、沢装備装着。7:10頃。
直ぐに鶏冠谷出合い。
巻き道から。
ホラノ貝(ここは行ってみたいところだ)。7:50頃。
右岸、左岸のヘツリの難しいところ、私だけ試しにトライ。皆は巻き道を行く。
(落ちてもドボンするだけだから挑戦してもよかった。)8:20~25頃。
8:50頃。
9:10頃、乙女の滝付近。
苔が特徴的な逆相の大岩壁横、9:20頃。
東のナメ沢基部の通過、9:25~
西のナメ沢へ、ナメ下で休憩。9:55頃~
オットット、10:25頃。
釜ノ沢出合い、10:50頃。