ネアンデルタール人 | 鬼川の日誌

 ネアンデルタール人

  ネアンデルタール人          

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  朝日新聞 (10年)5月7日に「ネアンデルタール人の血ヒトにも」という

 記事が載った。

  ( ネアンデルタール人もヒト、ホモ・サピエンスとおなじくホモ属である。

   ホモ・ネアンデルターレンシス。)


  現生人類(ホモ・サピエンス)以外で最も有名な古人類がホモ・エレクトスと

 ネアンデルタール人である。

  彼らは一時は現生人類の直接の祖先候補でもあったが、それが最終的に否定

 されたのは「ミトコンドリアイブ」説が唱えられてからになるから、つい最近

 のことである。彼らと現生人類は共通の祖先をもつ事は間違いない。

  最初の化石は1856年ドイツのデュッセルドルフ近郊のネアンデル渓谷

 (ドイツ語でタール)にあったフェルトホーファー洞窟で発見された。

  ネアンデルタール人は
約40~50万年前に現生人類との共通の祖先から別れ、

 「欧州を中心に西アジアで生存、約3万年前に絶滅したとされる。

 約20万年前にアフリカで現れたヒト(*)と同じ地域で生きていたが両者の間に

 交雑はないとの考えが有力だった。」   * ホモ・サピエンス

  しかし「
現生人類(ヒト)の一部はネアンデル タール人と交雑し、その

 遺伝子を受け継いでいた。独マックスプランク進化人類学研究所などの国際

 研究チームが、ネアンデルタール人のゲノム(全遺伝情報)配列を解析し、

 突き止めた。」のだそうだ。

  イスラエルのスフール、カフゼーという二つの洞窟で、早期ホモ・サピエ

 ンスの(**)化石が見つかっている。年代はいずれも10万年前頃だ。ところが

 彼らはそれ以上先に進出することはなかった。その後・・中東から早期ホモ・

 サピエンスの痕跡が消えもっぱらネアンデルタール人だけになるからだ。
 
  早期ホモ・サピエンスはネアンデルタール人と同じ石器文化しか持たず(?)

 進出を阻止されたと思われるのだ。

 

  ** 先の出アフリカ記事で見たようにこれはホモ・サピエンスの出アフリカ

 第1回目。

  この出アフリカは失敗(絶滅)したわけだが、早期ホモ・サピエンスという

 言葉では、旧ホモ・サピエンス(またホモ・ヘルメイ)と混同する。彼らは

 30万年前頃にアフリカで誕生して、25万年前頃にユーラシア一帯に広がり、

 ネアンデルタール人になった可能性がある古人類である。

  この記事での早期、後期という分類はあまり良くない。

  いわゆるクロマニヨン人
(この記事では後期ホモ・サピエンス)が西アジアの一角から

 東ヨーロッパに到達するのは4万6000年前頃になってからなのだ。
 交雑があったとすればこの頃以降の話になるのだろう。

  
約8万年前くらいにパレスチナのネアンデルタール人集団を避けるように(?)

 (比喩的に言ってるつもりでもおかしいしありえない。単に南のルートが可能

  だったからに過ぎない。)

 紅海南岸を渡ったホモ・サピエンスの小さな集団があったらしい。

 

   (これが第2回目の成功した出アフリカで、この集団が以後アフリカ以外

  のあらゆる世界を植民した私たちの祖先である。この集団が数10億もの

  世界のすべての人の祖先なのだから8万年という時は凄いものだ。)


  この波は遅くとも6万5000年前頃、東南アジアに達している。

 (オーストラリアにも)

  そして5~4.5万年前頃にクロマニヨン人として東ヨーロッパに到達した

 ということになるのである。
 
  これらの解明が最近の研究成果だった。

  「研究チームは・・ネアンデルタール人のゲノム全体の約6割を解明した・・・
 アフリカ以外のヒトはDNAの1~4%がネアンデルタール人由来と推測できた。

 子孫を残せるほど近い関係だったことになる。
 
  同チームはヒトの移動時期を踏まえ、アフリカを出た初期のヒトは10~5万

 年前の間に中東でネアンデルタール人に遭って限定的に交雑しその後、欧州や

 アジアに広がったと考えられるとした。」

 (10~5万年前は不可、5万年前以後の話だ。)
 
  これまでのDNAの解析ではホモ・サピエンスとネアンデルタール人との交雑

 の痕跡は見つかっていなかった。しかし交雑の可能性は全く否定されていた

 わけではない。

  ゲノムの解析でそれが見つかるとは本当に凄い話だ。

  (「アメリカのトリンカウスによれば、ポルトガルのレイリアで、ネアンデル

  タール人とクロマニヨン人の両方の特徴を備えた4歳の幼児の埋葬骨が見

  つかったという。・・
   年代は24500年前で、トリンカウスは両者の混血の子と見る。
  ・・本当だとすれば・・通婚していた初めての証拠となり、またネアンデル

  タール人が25000年前以降も生き残っていたことになる。・・しかし

  現時点では疑問符のつく話というしかない。」
  『ネアンデルタールと現代人』 河合信和著。今(’10年)から11年前の

  本です。こういう認識が普通でしょう。
  この幼児の遺伝子分析などがなされたかどうかは分からない。)

  しかし「ヒトのDNAの1~4%がネアンデルタール人由来」とか「限定的に

 交雑」とかこれがどういうことを意味することになるのかはよく分からない。